モンテヴェルディ かくも甘い苦悩が
ルネサンス期から初期バロック時代にかけての、最大の作曲家といわれているクラウディオ・モンテヴェルディ(1567~1643)の音楽は、生前より高い人気を誇るとともに、『オルフェオ』や『アリアンナ』をはじめ18曲にも及ぶ歌劇は、この分野における最初期の作品として、後世の作曲家に多大な影響を与えた。
イタリアのクレモナに生まれた彼は、幼少期から大聖堂の聖歌隊員になり、その楽長であったインジェニェーリのもとで学んだ。その後、マントヴァ公国ゴンツァーガ家の歌手及びガンバ奏者として仕え、1602年には楽長に就任、1613年には、ヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂の楽長に迎えられた。
彼はオペラの他に、膨大な数のマドリガル(世俗歌曲)集を作曲したが、今回ご紹介する『かくも甘い苦悩が(Si dolce d'l tormento)※1』は、その中でも最も知られた作品で、1624年に刊行された『ミラヌッツィの優美なアリオーソ 第4巻』に含まれている。
※1 日本語では、『苦しみが甘美なものなら』とも訳される。
スケールを上から降りてきては、上昇する単純なメロディー。その繰り返しの中で、恋の苦悩と喜びの間を揺れ動く男の心情を、絶妙に表している名曲だと思う。
次に、歌詞の一部を示す。
かくも甘い苦悩を胸に秘めて
私は幸せ むごくも美しい人のため
でも美の天国でひどくなる 君の横暴 冷たい君
私の真心は 高慢の波に洗われる岩(以下、続く)
竹内ふみ子 訳
フランス人カウンター・テノール歌手であるフィリップ・ジャルスキーと、クリスティーナ・プルハル率いる新進気鋭のバロック・アンサンブル「ラルペッジャータ」による、心に染み入るかのような演奏で聴いてみたい。
演奏時間はおよそ4分
【お薦め盤】
フィリップ・ジャルスキー(CT)、ラルペッジャータ(ヴァージン)
【追記】
youtubeに彼らの演奏がアップされています。ぜひぜひ、ご覧ください。
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