作曲家、この一曲(サ行~タ行)

2009/12/05

シュニトケ 交響曲第5番(合奏協奏曲第4番)

旧ソ連の作曲家アルフレット・シュニトケ(1934~1998)は、厳しい共産主義体制下において、数多くの実験的な要素を取り入れた前衛音楽を残したことで知られる。

Schnittke

ヴォルガ川流域のドイツ人自治共和国においてドイツ系ユダヤ人として生まれ育った彼は、モスクワ音楽院で作曲や器楽法を学び、1961年に卒業。その後は、母校において講師を務めた。彼の前衛的な作風は、ソ連作曲家連盟からの批判の対象となり、活動を制限された時代もあったが、1980年代以降は、国内外で広く知られるようになった。

残された作品は歌劇や交響曲、協奏曲、室内楽曲など多岐にわたり、マーラーやショスタコーヴィチの影響下にあるものから、無調や12音技法、電子音楽など、その時代により、あらゆるスタイルが取り入れられている。

今回取り上げる『交響曲第5番』は、1988年に作曲された作品で、当初はヴァイオリンとオーボエ、室内合奏のための作品として構想された。『合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ)第4番』の別名のとおり、全楽章にわたって多くの独奏楽器が活躍する。

全部で4つの楽章からなり、第1楽章アレグロの冒頭から祝祭的な雰囲気が漂うのは、この曲がコンセルトヘボウ管弦楽団の創立100年を記念した委嘱作品として作曲されたからであろう。第2楽章アレグレットは、マーラーが16歳のときに作曲した『ピアノ四重奏曲』の未完の第2楽章のスケッチが基になっている。

続く第3楽章は、全編にわたってシリアスで緊張度の高い音楽が展開され、全曲中、最大の聴きどころとなっている。最後の終楽章レントも、前楽章の雰囲気が引き継がれるが、曲の半ばで、チューバやハープシコードの独奏に続いて弦楽器が静かに登場する瞬間は、はっとするほど美しい。

僕はシュニトケの交響曲全集を購入して、『第1交響曲』を聴いたときは、そのあまりの過激さに「こんな曲をあと9曲も聴かなければならないのか・・・」と不安になったものだったが、杞憂に終わった。特に、この『第5交響曲』は、傑作のひとつであると思っている。

演奏時間はおよそ35分

【お薦め盤】
ネーメ・ヤルヴィ指揮、エーテボリ交響楽団(BIS)

Schnittkecd


【追記】
youtubeに音源が掲載されています。

2009/02/25

スーザ 行進曲『忠誠』

ジョン・フィリップ・スーザ(1854~1932)は、19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカ海兵隊の音楽隊隊長として活躍した音楽家で、「行進曲の王」とも呼ばれている。


Sousa


ワシントンD.C.で生まれ、13歳のときにワシントン海兵隊楽団に入団。5年間在籍した後、各地のオーケストラやブラスバンドで演奏活動を続ける中で創作活動を行った。オペレッタの分野でも多くの作品を残している(僕は未聴だが)が、有名なのはやはり行進曲。彼の曲は、アメリカを象徴する音楽であると同時に世界中で演奏されていて、今でも行進曲といえば、真っ先にスーザの名前が上がるほど、彼の功績は偉大である。

作品には、『ワシントン・ポスト』『士官候補生』『雷神』など広く知られた行進曲がたくさんあるが、何といっても彼の名を不滅にしたのは、1896年に作曲された『星条旗よ永遠なれ(Stars and Stripes Forever)』であろう。この曲は「アメリカ合衆国第二の国歌」とも呼ばれている。

僕が最初に購入したスーザの行進曲集は、フィリップ・ジョーンズ・ブラスアンサンブルによるLPレコード。輝かしくも品のある響きが印象的で、行進曲のイメージを一新する名盤だった。日ごろ頻繁に聴くわけではないけれど、聴けば心も沸き立ち、気持ちも引き締まる。

彼の数ある行進曲の中で、僕が最も好きなのは1888年の『忠誠(Semper Fidelis) 』。合衆国第21代大統領チェスター・A・アーサーの依頼により作曲されたこの曲は、誇り高く勇壮で、時に「男の哀愁」をも感じさせる主部のテーマ、ドラムマーチに導かれてトランペットが奏でる晴れやかな中間部など、いかにも整然と行進する兵隊の姿が目に浮かぶようで、行進曲の魅力をすべて兼ね備えた名曲と呼びたい。この曲は、アメリカ海兵隊の公式行進曲に制定されている。

スーザは、77年の生涯に100曲を超える行進曲を残していて、まだまだ隠れた名曲とも呼べる素晴らしい曲がたくさんある。最近、ナクソスレーベルが新たな全曲録音を進めているが、こうしたCDを聴いて自分の好みに合った曲を見つけるのも醍醐味のひとつであろう。

なお、マーチングバンドでよく見かける、演奏者の身体に巻き付いた大きなアサガオのような金管楽器「スーザフォン」は、彼が考案したことにちなんで名付けられている。

演奏時間は約2分半。


【お薦め盤】

上記のフィリップ・ジョーンズ・ブラスアンサンブルの演奏も素晴らしいが、最近、歴史的な名演奏が復刻されたので、そちらを紹介する。(2011年12月修正)

ドナルド・ハンスバーガー指揮、イーストマン・ウインド・アンサンブル(ユニバーサル)

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【追記】

youtubeにも、多くの演奏が掲載されています。

2008/09/28

デュカス 序曲『ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン』

バレエ『ラ・ペリ』や交響詩『魔法使いの弟子』などで有名な近代フランスの作曲家ポール・デュカス※(1865~1935)は、パリ音楽院に学び、後年は母校の教授として、デュリュフレやメシアンらを育てた優れた教育者としても知られている。※「デュカ」とも呼ばれる。

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彼は極端なまでの完璧主義者であり、唯一の歌劇である『アリアーヌと青ひげ』は完成まで10年を要している。50歳半ばを過ぎたころ、それまでに作曲した作品番号のない自作をすべて破棄してしまったため、現存する作品は、きわめて少ない。

今回ご紹介する序曲『ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン』は、そうした過酷な運命をくぐりぬけた現存する数少ない作品のひとつであり、1883年、彼が18歳のときに作曲された管弦楽曲。翌年、ジュネーブで初演された。

曲は、16世紀に実在した帝国騎士「鉄腕ゲッツ(ゴットフリート)」の回想録を、ゲーテが戯曲化した同名の作品に基づいている。短い導入部に続いてトランペットにより勇壮なテーマが提示される。ワーグナーやフランクの影響が顕著であり、巧みな管弦楽法によって大変聴きごたえのある曲になっている。

現在、序曲のみが残されているが、他にどのような曲がつくられたのかは不明である。

演奏時間は約13分半

現在、この作品の唯一の現役盤には、『交響曲ハ長調』や序曲『リア王』の名演も収録されていて、その存在価値を一段と高めている。

【お薦め盤】
ファブリス・ボロン指揮、ロイトリンゲン・ヴュルテンベルク・フィルハーモニー(Sterling)

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【追記】
youtubeに音源が掲載されていましたが、削除されてしまいました…。(2009年12月1日、2011年7月19日加筆)

2008/08/10

テレマン 無伴奏ヴァイオリンのための12の幻想曲

私事ながら、今日は僕の誕生日である。
そこで今回は、僕のとりわけ思い出深い音楽を紹介させたいただくことにしたい。


後期バロック時代に活躍したドイツの大作曲家ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681~1767)は、J.S.バッハやヘンデルと同時代に活躍した音楽家で、生前は彼らをしのぐ人気を博した。

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あらゆる分野にわたり数千曲にもおよぶ膨大な作品を残したとされ、その多くは失われてしまったのが惜しまれるが、歌劇や協奏曲、宗教曲などにおいて、優れた作品が現存する。特に「ターフェルムジーク(食卓の音楽)」と題された組曲やソナタなどの器楽曲集はよく知られ、よく演奏される。

今回取り上げるのは、彼がハンブルク市の音楽監督として活躍した時代の代表作のひとつである『無伴奏ヴァイオリンのための12の幻想曲』である。

1735年、かのJ.S.バッハの作品と前後して書かれたこの曲集は、12の曲それぞれが急緩急の3楽章、あるいは緩急緩急の4楽章からなり、ヴァイオリンの多彩な表現力と対位法を駆使した聴き応えのある作品となっている。

僕にとって、初めて聴いた「無伴奏ヴァイオリンのための曲集」とは、この作品(演奏)のことであり、その感動は今でも忘れられない。バッハの不朽の名作を知った後でも、やはりこのテレマンの曲集に強い愛着を持って今日に至っているのである。

演奏時間は全曲で約63分

僕はこの曲を、高校時代に購入したLPレコードで所有している。今回は下記のCD盤を紹介させていただく。

【お薦め盤】
アルテュール・グリュミオー(フィリップス)

Telemanncd


【追記】
youtubeにも、いくつかの演奏が掲載されています。ぜひお聞きください!(2010年2月加筆)
※もちろん推薦盤とは異なります。

2008/06/22

沢井忠夫 二つの群の為に

箏曲家であり、作曲家である沢井忠夫(さわい・ただお 1938~1997)は、愛知県に生まれ、現代日本の邦楽界の旗手として活躍した。

伝統を重んじながらも、それにとらわれない現代的な邦楽をめざして、1979年、妻である一恵とともに「沢井箏曲院」を設立し、全国各地で後進の育成に力を注いだ。ポピュラーやジャズ、クラシックなどの演奏家との共演にも積極的で、テレビやラジオにも数多く出演している。

いよいよ円熟の境地にさしかかろうという59歳の年、くも膜下出血により逝去されたことは痛恨の極みであるが、彼の作品や演奏は、古典から現代まで、多くの作品集CDが出ているのが、せめてもの救いである。

僕も10年ほど前、ある邦楽演奏会のステージで沢井箏曲院による合奏(『音きらら』)を聴いて、とても感動した記憶があり、最近も、ご子息の比河流(ひかる)氏らによる斬新なステージを鑑賞し、箏曲の持つ表現力の可能性に大いに感銘を受けたばかりである。

今回ご紹介するのは、1976年に発表された『二つの群の為に』で、ハーモニクス奏法やドラムのスティックによる演奏法などを取り入れた大編成による意欲作である。
全部で3つの楽章からなり、従来の箏曲とは異なる、きわめて現代的なリズムとハーモニー、奏法による幽玄かつ情熱的な音楽が全編にわたって繰り広げられ、聴く者を圧倒する。

現代箏曲の最高傑作のひとつであり、ぜひ一聴をお薦めしたい。

演奏時間は、およそ22分

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【追記】
youtubeに、ご本人が出演されたネスカフェのCMが掲載されています。(2009年2月1日加筆)


なお、ここで演奏されている曲は、このCMのためのオリジナル作品とのこと。


2008/03/08

スメタナ 祝典交響曲

チェコの国民的作曲家ベドジフ・スメタナ(1824~1884)は、民族固有の音楽を創造すべく生涯にわたり情熱を傾け、現在ではチェコ民族楽派の祖として位置付けられている。

Smetana

最も広く知られている傑作はもちろん、連作交響詩『わが祖国(Má Vlast)』であるが、『売られた花嫁』に代表される多くの歌劇、『弦楽四重奏曲第1番「わが生涯」』などの室内楽曲も広く親しまれている。また若き日にはショパン弾きとして名を馳せたこともあり、ピアノ曲も多数残している。

今回取り上げる『祝典交響曲ホ長調(作品6)』は、1853年から翌年にかけて作曲されたスメタナ唯一の交響曲で、30歳のころの若書きである。

当時のチェコは、オーストリア=ハンガリー帝国に支配される「ボヘミア」という地域に過ぎなかった。そこに即位したフランツ=ヨーゼフは、ボヘミアの自治独立に理解を示す皇帝として期待されていたこともあり、民族独立運動にもかかわっていたスメタナは、このフランツ=ヨーゼフ皇帝とエリザベス王妃の婚礼を祝して交響曲を作曲し、献呈しようとした。しかし、内容があまりに政治的色彩を有していること、そもそも被支配民族である「ボヘミア(チェコ)人」の作曲した曲であることを理由に却下されてしまった。

曲は、全4楽章にわたり皇帝讃歌(現在のドイツ国歌)が随所に用いられている。第1楽章の冒頭、金管のファンファーレにより第1主題が登場。後はひたすら晴れやかな祝典の音楽が繰り広げられる。たぶん全曲中一番の聴きどころは第3楽章で、弦楽器が刻むスケルツォのリズムの上にトランペットのA音が信号ラッパのように奏でられる民族色豊かな楽章である。続く終楽章のクライマックスでは皇帝讃歌が高らかに奏され、華々しくフィナーレを迎える。

後期作品のような深みは求めるべくもないが、前途洋洋の若者らしい素直さと、いくらかの気負いが感じられる愛すべき佳作だと思う。

演奏時間はおよそ46分

【お薦め盤】
テオドール・クチャル指揮、ヤナーチェク・フィルハーモニー管弦楽団(ブリリアント)

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【追記】
youtubeには、いくつか映像が掲載されています。(2011年3月加筆)
※第3楽章「スケルツォ」です。


2008/03/01

シューマン 交響的練習曲から「変奏曲Ⅴ(遺作)」

ドイツ・ロマン派の大作曲家であるロベルト・シューマン(1810~1856)は、さまざまな分野で数多くの名曲を残しており、僕も日ごろから、交響曲や協奏曲、室内楽曲、歌曲などを愛聴している。

Schumann3

今回、数多くの名曲の中から選んだのは、1834年から翌年にかけて作曲されたピアノのための『交響的練習曲(作品13)』、それも、作曲者自身により本編から除外され、現在は遺作として位置づけられている5曲の変奏曲から第5曲である。

わざわざ、この部分だけを取り上げるのには理由がある。彼の作品の中で、僕の最も好きな曲であることは言うまでもなく、この曲が、シューマンの作品の中でも、異彩を放つ傑作だと考えているからである。

モデラート、変ニ長調、4分の4拍子。リピートを除けば、たった16小節からなる小品であるが、とにかくメロディーからして、この時代の、どの作品とも一線を画していて、まるで印象派の音楽である。不安定なリズムとハーモニーにのって、はらはらと舞い降りてくるような旋律は例えようもなく美しいが、5、6小節目で聞かれる切迫した音の動きは、切なさの中に軽い狂気すら感じさせる。

なお、この曲を含む5曲の変奏曲は、本編(主題と12の練習曲)に組み合わされて演奏される例や、あくまで補遺として、曲の最後にまとめて演奏されることもある。

演奏時間はおよそ3分

もちろん、ポリーニの名演が存在することを承知の上で、ここではあえて別の、しかし、何とも味わい深い演奏をお薦めする。
※価格も、お手ごろである。

【お薦め盤】
イェルク・デムス(Documents)

Schumanncd2


【追記】
youtubeにも演奏が掲載されています。
※デムスの演奏ではありません。


【参考】
シノーポリ&ウィーン・フィルのシューマン『交響曲第2番』

2007/10/20

スーク 幻想的スケルツォ

チェコの作曲家でありヴァイオリン奏者であったヨセフ・スーク(1875~1934)が名を知られるのは、プラハ音楽院時代の作曲の師ドヴォルザークの娘婿になったことや、同姓同名の孫が著名なヴァイオリニストとして現在も活躍していることくらいであった。
また唯一広く知られていた作品は、18歳の若書きの『弦楽セレナーデ』だったのではないだろうか。

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僕も、20年数年前から『アスラエル交響曲』や管弦楽組曲『リンゴの木の下で』など、機会あるごとにさまざまな作品を聴いてきたにもかかわらず、いまいち心を打つ曲がなかったのが事実である。

しかし、偶然に買い求めたCDで、交響詩『夏物語』のフィルアップのように収められた、この『幻想的スケルツォ(作品25)』を聴いて耳を疑うほど驚いた。「何と素晴らしい曲!」 僕は初めて、この作曲家の作品に感動した。

曲はアレグロ・ヴィヴァーチェで、木管の軽妙なリズムの主題で始まるが、何と言ってもこの曲の最高の聴きどころは、54小節目からチェロ~ヴァイオリンによって表情豊かに奏される、郷愁を帯びたメロディーである。

このスークこそが、ドヴォルザークの正統の継承者であると思わせるに足る傑作であり、ぜひ多くの人に聴いてもらいたい。

演奏時間は、およそ15分

【お薦め盤】
チャールズ・マッケラス指揮、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(ロンドン)

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【追記】
何と、youtubeに映像が掲載されていました!
けっこう知名度の低い曲だと思っていたので驚きです。恐るべしヨウツベ・・・。(2010年3月29日加筆)
(※演奏は異なります)

2007/08/25

ドホナーニ 組曲嬰ヘ短調

ハンガリーの作曲家エルンスト・フォン・ドホナーニ(1877~1960)は、バルトークやコダーイらとともに、近代ハンガリーの音楽界を牽引した人物である。また教育者として、名指揮者となったフリッチャイやショルティ、名ピアニストのアンダやフィッシャーらを育てた。なお現在、指揮者として世界的に活躍しているクリストフ・フォン・ドホナーニは彼の孫にあたる。

Dohnanyi

幼いころより父から音楽の手ほどきを受け、ブダペスト音楽アカデミー(現在のリスト音楽院)に入学し、ピアノと作曲を学ぶ。ピアニストとして名声を得るとともに、ベルリン高等音楽学校や母校のブダペスト音楽アカデミーで教鞭をとる。

1949年、アメリカに移住するが、これは祖国ハンガリーが第2次世界大戦後、ソビエト共産圏に飲み込まれていく中で、祖国に居場所をなくしたためと言われている。

作曲家としては、あらゆる分野で数多くの作品を残していて、演奏会では室内楽作品が比較的よく取り上げられる。ただ、バルトークのように民族色を強く打ち出すことなく、後期ロマン派、とりわけブラームスの影響を色濃く残し、オリジナリティの点からみれば自己主張が弱いとも感じられる。それがドホナーニの音楽の美点でもあり、親しみやすさでもある。

今回取り上げた管弦楽のための『組曲嬰ヘ短調(作品19)』も、ブラームスやドヴォルザークの影響を色濃く残した作品である。
誤解を恐れずに言えば、第1楽章がブラームスのセレナード風、第2楽章がドヴォルザークのスケルツォ風、第3楽章の中間部はロシア国民楽派風、第4楽章の中間部はスペイン風と、まるでヨーロッパ各地の紀行文のような趣(おもむき)を持っている。

聴く者の心を温かくするリリカルな魅力にあふれた作品であり、もっと広く知られてほしいと思う。

演奏時間はおよそ29分

【お薦め盤】
マティアス・バーメルト指揮、BBC交響楽団(シャンドス)

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2006/07/30

スッペ レクイエム 

日本では『軽騎兵』『詩人と農夫』などの喜歌劇の序曲で名高いベルギー系オーストリア人の作曲家フランツ・フォン・スッペ(1819~1895)は、生前、「ウィンナ・オペレッタの父」とも呼ばれ、パリのオッフェンバックと人気を二分し、指揮者や歌手としても活躍した。

Suppe_2

現在、彼のライフワークであったはずの喜歌劇(全36作品)は忘れ去られ、もっぱらその序曲のみが演奏されるが、1955年、恩人であったフランツ・ボルコニーの死をきっかけに作曲されたこの『レクイエム』は、隠れた名曲といっても差し支えない。

全体の構成は、モーツァルトの『レクイエム(K.626)』に酷似していて、例えば第3曲の「トゥーバ・ミルム」では、その旋律の明らかな引用を聴くことができる。メロディーメーカーであった彼らしく、親しみやすい旋律と豊かなハーモニーにあふれ、今後、広く親しまれていく可能性を秘めた作品だと思う。

演奏時間は全曲で約70分

【お薦め盤】
ミシェル・コルボ指揮、リスボン・グルベンキアン合唱団&管弦楽団(ヴァージン)

Suppe_requiem_2


【追記】
youtubeにいくつか掲載されています。(2010年3月29日加筆)
※第2曲「ディエス・イレ(怒りの日)」です。
  冒頭の弦の音型は、『詩人と農夫』序曲の嵐の部分を彷彿とさせますね。

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