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2012/10/21

わが青春の「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」

今年の7月末、日本コロムビア株式会社から、YAMATO SOUND ALMANACシリーズの1枚として「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」がCDで発売された。これは、ファンにとって思いがけない慶事であった。なぜならこのアルバムは、最近まで手に入れることが困難だったからだ。

僕の記憶が確かならば、この「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」は、かつて90年代半ばにCD化されたこともあったが、その後、関係者の間で起こった著作権をめぐるトラブルに起因してか、廃盤の憂き目に遭ってしまった(ヤフオクなどでは、中古品が高値で取引されていた)。 何年か前に発売された、ン万円もするCD-BOXの中に、リマスター化されたこのアルバムが含まれていたが、簡単に手を出せる代物でなかったことは言うまでもない。

やむなく僕は、昔、購入したカセットテープからTASCAMのPCMレコーダー経由でパソコンに取り込んで聴いていた。今回、リマスター・Blue-spec盤として音が一層クリアになり再発売されたことは、本当に喜ばしい。

僕が音楽にのめり込むようになるきっかけは、小学生のときに学校の音楽室で聴いたクラシック音楽だったことは間違いないけれど、好きな音楽は、ジャズやロック、ポピュラーなど多岐にわたっている。僕が特定のジャンルにこだわらず幅広く聴くようになったのは、今回取り上げる『宇宙戦艦ヤマト』の音楽の影響が大きい。

『宇宙戦艦ヤマト』は、1974年に放送されたテレビアニメ(全26話)である。僕はそれをリアルタイムで見ていたわけではなかったが、周囲の友人たちの噂話で気にはなっていた。やがて僕も夢中になるのだが、それは1977年に映画版の公開に合わせて発売された、この「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」を聴いたことがきっかけだった。

このアルバムは、アニメの音楽を担当した作曲家の宮川泰(みやがわ・ひろし、1931~2006)が、そのBGMをオーケストラ用に編曲・再構成し、特別編成のオーケストラ「シンフォニック・オーケストラ・ヤマト」を指揮、録音されたLPレコードである。


「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」(日本コロムビア)

Yamato1


この音楽集から受けた影響は、今思うと相当なものだったと思う。当時、もっぱらクラシック音楽を聴いていた僕にとって、交響組曲というスタイルは大いに興味をそそられたし、ヤマトの音楽を象徴する有名なスキャット(川島和子の名唱!)をはじめ数々の美しいメロディーが、大編成のオーケストラで奏でられるのを聴いて、「ああ、こんな世界もあるんだ…」と衝撃を受けたことを記憶している。

とにかく、宮川泰のメロディーメーカーとしての才能は抜群だと思う。今でも、その認識は変わらない。特に僕の琴線に触れたのは、ストリングスで歌われるメロディーの美しさ。6曲目の「追憶」や最後12曲目の「スターシャ」は、まさに絶品だ。

実を言うと、僕は当時、この『宇宙戦艦ヤマト』の映画を見ていない。お金(小遣い)がなかったせいもあるが、確か当時、ラジオの深夜放送でヤマトの特集番組が何度か組まれて、プロデューサーの西崎義展とか、声優の富山敬や麻上洋子などが見どころを解説(実演)していたのを、ラジオにかじりつくようにして聴いたものだった。一方で、その音楽に関しては、何種類ものLPレコードやカセットテープを購入し、熱心に聴き漁(あさ)っていた。


Yamatomytapes


そして次の年、続編映画である『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』の公開と同時に発売された音楽集(サウンドトラック)を購入したことで、僕の「ヤマト熱」は頂点に達することになる。

このアルバムは、前作のように交響組曲とは記されていないが、「序曲」から始まる12曲で構成されていて、実質、交響組曲と呼んでも差し支えないだろう。第2曲「白色彗星」では、ヤマトの敵となる悪の帝国の不気味さ、圧倒的な力がパイプオルガンで表現され、第5曲「テレサよ永遠に」や第6曲「想人(おもいで)」では、前作同様、魅惑的な「宮川節」に酔いしれたものだ。

中でも最も心を動かされた曲が、11曲目の「大いなる愛」。曲の冒頭、ピアノからストリングスに引き継がれる切なく美しいメロディー。オーボエのソロをきっかけに曲は長調に変わり、あこがれや希望を表す愛のメロディーが、まるで虹のアーチのように歌われてゆく。当時、まだ青春の入り口にいた僕は、この曲を聴きながら、何かよくわからないけど胸が締め付けられるような感覚を覚えたものだ。※このアルバムも、今年9月に上記シリーズで再発売となった。


「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 音楽集」(日本コロムビア)

Yamato2


映画のストーリーも、敵との戦いの中で次々とヤマトの乗組員が死に、最後には主人公が人類の未来のために犠牲になって敵の戦艦に突っ込んでいくという「日本人好み」の展開で、大ヒットを記録。一大ヤマト・ブームを巻き起こした。しかし、直後に放送されたテレビシリーズでは、主人公をはじめ、味方のほとんどが「死なない」ストーリーに変更(改悪?)され、その後もシリーズが継続されることになった。

このあたりから、僕自身の熱も徐々に冷めはじめた。1979年にテレビで放送された『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』や、翌1980年の映画『ヤマトよ永遠(とわ)に』あたりまでが、僕の記憶にあるヤマトといえようか。しかし、物語を彩った名曲の数々は消えることなく心に残り続け、僕の音楽人生に深い影響を与えている。(数年前に公開された実写版の映画も見たし、サントラも購入している)

クラシック音楽しか聴かない人や『宇宙戦艦ヤマト』を知らない世代の人たちも、今回の再発売を機に、ぜひ、このオーケストラで奏でられる名曲の数々に触れてみてほしいと思う。世の中には、まだまだ未知の音楽があふれ、素晴らしい世界が無限に広がっていることを実感していただけるに違いない。


【参考音源】

「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」から「序曲」


※本文中、関係者の敬称は省略させていただきました。ご了承ください。

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コメント

吉田隆子の記事からこちらにきました。大変お詳しくて非常に勉強になりました。戦艦ヤマトは懐かしい。久しぶりに、このスキャットを聞いて、なるほど名曲だと再認識しました。現在49歳の私は、風の谷のナウシカの音楽の方が印象が強く、したしんでいます。

きたやんさん、コメントありがとうございます!
先週の『題名のない音楽会』でも、この「宇宙戦艦ヤマト」の音楽が大きく取り上げられていました。本当に、世代を超えた名曲ぞろいの音楽だと思います。
ちなみに世代により熱中した番組が大まかに分けられるようです。50代→「ウルトラ世代」、40代後半→「ヤマト世代」、40代前半~30代後半→「ガンダム世代」、30代前半→「ドラゴンボール世代」…。
だいたい当たっていると思っています。

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