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2010年6月

2010/06/26

藤掛廣幸 マンドリンオーケストラのための『シンフォニア・パルナソス』 初演遠征記

先日6月20日、藤掛廣幸氏の新作を聴きに姫路市を訪れた。

自称「藤掛ファン」の一人である僕としては、作曲者自身がネット上で「自分で言うのは変だけれど、敢て言っちゃいます・・・名曲です!傑作です!まだ完成していないけれど期待していて下さい(原文ママ)」と発言されている以上、聞き逃すわけにはいかず、万難を排して出かけることにした。

ところで、「姫路」と言えば、世界文化遺産であり国宝の「姫路城」。しかし現在、「大天守保存修理期間中」とのことで、あの美しい名城を拝むことができないのかと内心あきらめていたところ、姫路駅を降りて真正面に、堂々とした天守閣がそびえているのが見え、思わず歓声を上げてしまった。


Himejicastle


梅雨の蒸し暑さの中、姫路城に向かう手前の交差点を右に折れると、本日のコンサートの会場である姫路市市民会館が見えてくる。


Himejicityhall


今回の演奏会は、地元市民でつくる「姫路パルナソス・マンドリンオーケストラ」のサマーコンサート。藤掛氏の新作は、このオーケストラの創立20周年を記念した委嘱作品として誕生した。

大ホールは、800人収容の多目的ホール。今回は反響板を使わず、ホリゾント幕を利用して演奏するようだ。確かに視覚的には美しいかもしれないが、音響面から考えると、正直、疑問を感じる。

会場は時間が近づくにつれ、ほぼ満席となった。

プログラムは2部構成。前半に、藤掛氏が青年期に作曲したマンドリンオーケストラ曲の最高傑作『パストラル・ファンタジー』が演奏されたが、真面目で端正な演奏ぶりが曲の情緒的な魅力をスポイルしており、期待した感銘は得られなかった。また、後半第2部の冒頭は、地元の歌い手(教職員?)による『オー・ソレ・ミオ』など、カンツォーネが数曲演奏されたが、評価は差し控えたい。

さて、いよいよ期待の新作『シンフォニア・パルナソス』である。演奏前、作曲者が客席からステージに呼び出され、駆け足で登壇する。還暦を過ぎたという年齢ではあるが、フットワークも軽く、容姿も話ぶりもとても若々しい! これこそが、名曲を次々と生み出す源(みなもと)かもしれないと思った。

曲は冒頭、哀愁を帯びた3拍子の美しい主題が提示され、幾度も繰り返されながら徐々に発展し、最初の頂点を形づくる。すると曲は一転、テンポを早め中間部に入る。ここではモダンな主題も印象深いが、通奏低音のように弾き鳴らされる低弦による刻み、フレーズごとに打ち込まれるティンパニのアクセントが小気味よい。そして後半、4拍子に変容された冒頭の主題が戻ってきて、中間部の主題も交えながらクライマックスに達し、壮大な盛り上がりの中で曲を閉じた。

演奏後、拍手が鳴りやまない中、作曲者が再度ステージに呼び出され、演奏者たちを称えていた。指揮者は、本番前のトークで「失敗するかもしれない」と謙遜されていたが、目立った乱れもなく、なかなかの熱演であった。

なお、演奏中はステージ後方のホリゾント幕に、イタリアの地図やパルナソス山やアポロン神殿らしき写真がスライドショーで写されていたが、照度不足のため、ぼんやりとしか見えず、効果は「微妙・・・」であった。

そしてアンコールでは、またあの歌い手が登場した。

最後に一言。
この『シンフォニア・パルナソス』は、作曲者自身が「傑作」と明言するだけあって、確かに魅力的な作品だと思った。美しいメロディーやハーモニー、そして迫力にも欠けていない。この曲が今後、初演の地であるここ姫路の地から大きく羽ばたいて、全国のマンドリンオーケストラに愛奏されるようになることを、心より願ってやまない。


Parnassus_concert


【追記】
先日、youtubeに当日の映像が掲載されたので、ぜひご覧ください。(7月11日加筆)

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