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2009/10/14

カルウォーヴィチ 交響詩『仮面舞踏会のエピソード』

最近、再評価の機運が高まっている近代ポーランドの作曲家であるミェチスワフ・カルウォーヴィチ※(1876~1909)は、20世紀初頭に、新しいポーランド国民音楽の創造をめざしたグループ「若きポーランド」に加わり、その中心的存在として活躍した人物である。※「カルウォヴィチ」とも呼ばれる。

Karlowicz


リトアニアの首都ヴィリニュスで生まれた彼は、ワルシャワ音楽院で作曲を学び、ドイツでは名指揮者アルトゥール・ニキシュに指揮法を師事。1901年に帰国した後は、ポーランド音楽協会の会員となり、弦楽オーケストラを創設し、指揮者として活躍。盟友シマノフスキらとともに、新しいポーランド音楽の創造・発展に尽力した。

しかし生来、健康面の不安があり、1907年にはワルシャワの喧騒を離れ、静養を兼ねて、ポーランドとスロヴァキアの国境に位置するタトラ山脈の小都市に移り住んだ。そこで作家、登山家、写真家としても活動しながら、連作交響詩『永遠の歌(作品10)』をはじめとする一連の交響詩を手がけるが、1909年、スキーをしている時に雪崩に遭遇し、非業の死を遂げる。

32年という短い生涯で、残された作品も決して多くないが、オーケストラ曲を中心に優れた作品を残していて、ドイツ留学中に作曲された『弦楽セレナードハ長調(作品2)』、「復活」の表題を持つ『交響曲ホ短調(作品7)』や『ヴァイオリン協奏曲イ長調(作品8)』など、みずみずしい叙情性と劇的要素を併せ持つ魅力的な作品群は、今後、オケのレパートリーとして定着する可能性は十分だ。

今回ご紹介するのは、最晩年の交響詩『仮面舞踏会のエピソード(作品14)』。リヒャルト・シュトラウスを髣髴(ほうふつ)とさせる大規模な作品で、ホルンの咆哮が印象的な冒頭部分から、いきなり物語のど真ん中に引きずり込まれた錯覚に陥る。ヴァイオリンが提示する主要主題は、個性的で強烈な芳香に満ちている。ゴージャスで色彩的な管弦楽法、眼前で物語が繰り広げられているような劇的な展開は、まさに天才の筆致としか言いようがない。作曲の由来は不明だが、1908年の秋に作曲に取りかかったところ、翌年、作曲家の急逝により未完のまま残され、同じポーランドの作曲家フィテルベルクの補筆により完成、1914年2月にワルシャワで初演された。

演奏時間は約29分

【お薦め盤】
アントニー・ヴィット指揮、ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団(ナクソス)

Karlowiczcd


【追記】
youtubeに、いくつか音源が掲載されています。

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