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2009/05/02

マルティヌー ニッポナリ

ボフスラフ・マルティヌー(1890~1959)は、20世紀前半に活躍したチェコの代表的な作曲家のひとりである。

Martinu

ボヘミアの靴職人の家に生まれ、幼少期からヴァイオリン演奏に顕著な才能を発揮した彼は、周囲に将来を嘱望されプラハ音楽院に籍を置くが、1910年、学業怠慢のため退学させられてしまう。やがて地元に戻った彼は、教職の道を歩みつつ、作曲を手がけるようになる。

1919年には、チェコスロヴァキア共和国の独立を祝して作曲した大編成の合唱と管弦楽によるカンタータ『チェコ狂詩曲(H118)』がチェコフィルにより初演され、スメタナ賞を受賞し注目を浴びる。

やがてフランス音楽に傾倒するようになり、1923年にパリに留学しルーセルに師事するとともに、フランス6人組やストラヴィンスキーなどと交流を深めるが、ナチスドイツがヨーロッパ各地に勢力を拡大してくると、それを避けてアメリカに移住し作曲に専念する。

彼は、生涯にあらゆる分野で膨大な作品を残していて、特にアメリカ時代を中心に、民族性豊かで叙情的な傑作を数多くの作曲しているが、今回取り上げるのは、彼が故郷で教鞭をとっていた1912年、22歳の若書きであるソプラノと小編成のオーケストラのための歌曲集『ニッポナリ(H68)』である。

この作品は、ドイツ語から更にチェコ語へ訳された日本の和歌集(17首)からマルティヌーが抜粋した7曲からなる歌曲で、表題の「ニッポナリ」は「日本也」に由来している。

若きマルティヌーが心惹かれ、インスパイアされたであろう日本の和歌として、額田王や小野小町、静御前など大和時代から鎌倉前期までの作品が取り上げられているが、曲調はまったく日本的ではなく、むしろドビュッシーなどフランス印象主義のような、繊細で美しい音楽が展開する。どの曲も瑞々しいメロディーに溢れていて、早熟の天才らしい名曲だと思う。

演奏時間はおよそ22分

現在、唯一の現役盤(輸入盤)が手に入る。ここでは併せて前述の『チェコ狂詩曲』も聴くことができる。

【お薦め盤】
ダグマー・ベツコーヴァ(Sop)、イルジー・ビエロフラーヴェク指揮、プラハ交響楽団(スプラフォン)

Martinucd

※なおマルティヌーは、「マルチヌー」と表記される場合もあります。

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