« 沢井忠夫 二つの群の為に | トップページ | ルーセル 交響的断片『蜘蛛の饗宴』 »

2008/07/27

ベルワルド 交響曲第3番「サンギュリエール」

ロマン派時代のスウェーデンの作曲家フランツ・アドルフ・ベルワルド(1796~1868)は、今でこそスウェーデンの重要な作曲家のひとりとして認識されているが、僕が知る限り20年ほど前までは(特に日本では)まったくと言っていいほど無名の音楽家だった。

Berwald

ドイツから移住した音楽家の家系に生まれた彼は、幼いころから父親にヴァイオリンを学び、宮廷楽団などで演奏活動をはじめたという経歴を持っている。

やがて独学で作曲にも手を染めるようになり、管弦楽曲や室内楽曲をはじめ、数多くの曲を作曲するが、一部の作品を除き、なかなか認められることはなく、1829年、ベルリンに留学し作曲を続けようとするが断念、39歳になった1835年には、整形外科の診療所を開業し生計を立てることになった。

1845年に作曲されたこの『交響曲第3番ハ長調「サンギュリエール」』も、彼の死から半世紀以上たった1914年になって、ようやく初演された作品で、今日では彼の代表作のひとつとされている。曲は「急・緩・急」の3つの楽章からなるが、第2楽章アダージョの中間部にスケルツォが配置されるという構成をとっている。

僕がこの「風変わりな」という意味の題名を持つ、この交響曲を初めて聴いたのは大学生時代であるが、ネーメ・ヤルヴィ指揮、エーテボリ交響楽団による演奏を聞いたとき、何か言葉に表せない違和感?を感じたものだった。

「何だ、このへんちくりんな曲は・・・」

大枚をはたいて買ったCDでもあり、何度も懸命に聴き返して好きになろうとしたが、特にアレグロ・フォコーソ(火のように)と指示された第1楽章とフィナーレ楽章は、せかせかした旋律や展開、無理やりなクレッシェンドに、「だから風変わりと呼ぶのか」と妙に納得したもので、ヤルヴィ指揮による演奏も、この指揮者の欠点(しばしば感覚的に流れすぎる)が露呈してしまっているように思えた。

この曲を「まあまあ聴ける」ようになったのは、ここ十年ほどのことであり、今回お薦め盤は、曲の魅力を十二分に引き出した演奏といえるだろう。

なおベルワルドは、晩年、ストックホルム音楽院の作曲科教授に任命されるなど、ようやくその業績が認められつつあった矢先に肺炎のため逝去する。20世紀に入ると、ステンハンマルをはじめとする母国の後輩音楽家たちが、彼の作品を積極的に取り上げ、今日の再評価へとつながることになった。

演奏時間は約30分

【お薦め盤】
トマス・ダウスゴー指揮、デンマーク国立放送交響楽団(ブリリアント)

Berwaldcd


【追記】
youtubeに演奏が掲載されています。(2010年2月1日加筆)
※演奏は異なります。

« 沢井忠夫 二つの群の為に | トップページ | ルーセル 交響的断片『蜘蛛の饗宴』 »

作曲家、この一曲(ナ行~ハ行)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/46318/51614240

この記事へのトラックバック一覧です: ベルワルド 交響曲第3番「サンギュリエール」:

« 沢井忠夫 二つの群の為に | トップページ | ルーセル 交響的断片『蜘蛛の饗宴』 »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

Twitter

無料ブログはココログ

Amazon ウィジェット

  • ウィジェット