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2008年5月

2008/05/03

フンパーディンク 夕べの祈り

歌劇『ヘンゼルとグレーテル』によって知られている近代ドイツの作曲家エンゲルベルト・フンパーディンク(1854~1921)は、リヒャルト・ワーグナーの音楽に共鳴し、一時期、彼の助手としても活躍した。

Humperdinck

若き日にケルン音楽院において、ベートーヴェンとも親交のあった作曲家フェルディナント・ヒラーに学び、その後、ミュンヘンでシューベルトの親友であったフランツ・ラハナーらに師事。ヨーロッパ各地で活躍するが、1887年にケルンに戻って以降は、ドイツ国内の音楽院などで後進の指導にあたった。

彼の代表作である歌劇『ヘンゼルとグレーテル』は、グリム童話集の『ハンスとグレーテ』に基づき、作曲者の妹であったアーデルハイト・ヴェッテが台本を制作、1893年にリヒャルト・シュトラウスの指揮により、ワイマールで初演されたメルヘン・オペラの傑作である。

この歌劇には、数多くの印象的な曲が含まれるが、その中で今回、取り上げるのは「夕べの祈り」の音楽である。この旋律は、前奏曲や本編においても効果的に使われているが、それをウィーン・フィルのホルン奏者たちが演奏した録音が特筆すべき名演なのである。

この演奏は、長い間、FM放送で夜のクラシック番組のエンディングテーマに使われていたことから、聞き覚えのある方も多いと思うが、僕は、この演奏を聴くたび、なぜか強いデジャヴュを感じる。このウィンナ・ホルンの名手たちによる演奏は、醸し出される雰囲気が実に素晴らしい。

演奏時間は約3分半

【お薦め盤】
ウィーン・ヴァルトホルン合奏団(デッカ)

最近、CDで復刻されたので、そのジャケットを掲載する。(2011年2月加筆修正)

Wienerwaldhorncd


【追記】
youtubeに前奏曲の演奏が掲載されています。冒頭のホルンが奏する旋律が「夕べの祈り」のテーマです。(2010年12月加筆)


アルベニス ピアノ協奏曲第1番(幻想的協奏曲)

イサーク・アルベニス(1860~1909)は、スペインが生んだ大作曲家であり、近代民族主義楽派の代表的存在である。

Albeniz

幼少期から天才ピアニストとして知られ、マドリード音楽院で学んだ後、その優れたピアノの腕前で世界各地を放浪したといわれる。その後、ライプツィヒ音楽院やブリュッセル音楽院で学んだとされるが、世界各地を演奏旅行で飛び回る日々であった。23歳で結婚した後、しばらくしてパリに移り、49歳で亡くなるまでフランスを本拠に活躍した。

彼は、歌劇や管弦楽曲なども若干数残しているが、作品の多くはピアノ曲で、最高傑作との呼び声高い組曲『イベリア』をはじめ、スペイン情緒豊かな印象主義的作風が特徴で、現在でも演奏会でよく取り上げられる。とりわけギター界では、なくてはならない存在であるが、彼自身はオリジナルのギター曲を作曲しておらず、あくまで後世の編曲である。それほど彼のピアノ曲は、ギターの奏法を彷彿(ほうふつ)とさせるものがある。

今回ご紹介するのは、『ピアノ協奏曲第1番イ短調(作品78)』で、1887年に初演された。全体は3つの楽章からできていて通常の協奏曲形式に従うが、第2楽章はアンダンテと、スケルツォに相当するプレストの2部で構成される。アルベニス特有の民族主義的要素は少なく、むしろシューマンやグリーグの協奏曲のようなロマン派風協奏曲となっていて、特に、第1楽章全般に漂うメランコリックな情緒は、大きな聴きどころである。

なおこの曲のオーケストラパートは長年行方不明となっていたが、1967年に発見され、再び演奏されるようになった。

フランス在住の名ピアニスト、チッコリーニの共感あふれる演奏を第一にお薦めする。

演奏時間は約25分

【お薦め盤】
アルド・チッコリーニ(Pf)、エンリケ・バティス指揮、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(Alfa)

Albenizcd


【追記】
youtubeに音源が掲載されました。(2013年8月18日加筆)

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