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2008年3月

2008/03/08

スメタナ 祝典交響曲

チェコの国民的作曲家ベドジフ・スメタナ(1824~1884)は、民族固有の音楽を創造すべく生涯にわたり情熱を傾け、現在ではチェコ民族楽派の祖として位置付けられている。

Smetana

最も広く知られている傑作はもちろん、連作交響詩『わが祖国(Má Vlast)』であるが、『売られた花嫁』に代表される多くの歌劇、『弦楽四重奏曲第1番「わが生涯」』などの室内楽曲も広く親しまれている。また若き日にはショパン弾きとして名を馳せたこともあり、ピアノ曲も多数残している。

今回取り上げる『祝典交響曲ホ長調(作品6)』は、1853年から翌年にかけて作曲されたスメタナ唯一の交響曲で、30歳のころの若書きである。

当時のチェコは、オーストリア=ハンガリー帝国に支配される「ボヘミア」という地域に過ぎなかった。そこに即位したフランツ=ヨーゼフは、ボヘミアの自治独立に理解を示す皇帝として期待されていたこともあり、民族独立運動にもかかわっていたスメタナは、このフランツ=ヨーゼフ皇帝とエリザベス王妃の婚礼を祝して交響曲を作曲し、献呈しようとした。しかし、内容があまりに政治的色彩を有していること、そもそも被支配民族である「ボヘミア(チェコ)人」の作曲した曲であることを理由に却下されてしまった。

曲は、全4楽章にわたり皇帝讃歌(現在のドイツ国歌)が随所に用いられている。第1楽章の冒頭、金管のファンファーレにより第1主題が登場。後はひたすら晴れやかな祝典の音楽が繰り広げられる。たぶん全曲中一番の聴きどころは第3楽章で、弦楽器が刻むスケルツォのリズムの上にトランペットのA音が信号ラッパのように奏でられる民族色豊かな楽章である。続く終楽章のクライマックスでは皇帝讃歌が高らかに奏され、華々しくフィナーレを迎える。

後期作品のような深みは求めるべくもないが、前途洋洋の若者らしい素直さと、いくらかの気負いが感じられる愛すべき佳作だと思う。

演奏時間はおよそ46分

【お薦め盤】
テオドール・クチャル指揮、ヤナーチェク・フィルハーモニー管弦楽団(ブリリアント)

Smetanacd


【追記】
youtubeには、いくつか映像が掲載されています。(2011年3月加筆)
※第3楽章「スケルツォ」です。


2008/03/01

シューマン 交響的練習曲から「変奏曲Ⅴ(遺作)」

ドイツ・ロマン派の大作曲家であるロベルト・シューマン(1810~1856)は、さまざまな分野で数多くの名曲を残しており、僕も日ごろから、交響曲や協奏曲、室内楽曲、歌曲などを愛聴している。

Schumann3

今回、数多くの名曲の中から選んだのは、1834年から翌年にかけて作曲されたピアノのための『交響的練習曲(作品13)』、それも、作曲者自身により本編から除外され、現在は遺作として位置づけられている5曲の変奏曲から第5曲である。

わざわざ、この部分だけを取り上げるのには理由がある。彼の作品の中で、僕の最も好きな曲であることは言うまでもなく、この曲が、シューマンの作品の中でも、異彩を放つ傑作だと考えているからである。

モデラート、変ニ長調、4分の4拍子。リピートを除けば、たった16小節からなる小品であるが、とにかくメロディーからして、この時代の、どの作品とも一線を画していて、まるで印象派の音楽である。不安定なリズムとハーモニーにのって、はらはらと舞い降りてくるような旋律は例えようもなく美しいが、5、6小節目で聞かれる切迫した音の動きは、切なさの中に軽い狂気すら感じさせる。

なお、この曲を含む5曲の変奏曲は、本編(主題と12の練習曲)に組み合わされて演奏される例や、あくまで補遺として、曲の最後にまとめて演奏されることもある。

演奏時間はおよそ3分

もちろん、ポリーニの名演が存在することを承知の上で、ここではあえて別の、しかし、何とも味わい深い演奏をお薦めする。
※価格も、お手ごろである。

【お薦め盤】
イェルク・デムス(Documents)

Schumanncd2


【追記】
youtubeにも演奏が掲載されています。
※デムスの演奏ではありません。


【参考】
シノーポリ&ウィーン・フィルのシューマン『交響曲第2番』

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