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2007年8月

2007/08/26

モーラン ヴァイオリン協奏曲

アイルランド系イギリス人のアーネスト・ジョン・モーラン(1894~1950)は、同時代に生きたディーリアスやヴォーン・ウイリアムズなどと同様に、イギリスの自然を音で描いた田園詩人とも呼ぶべき作曲家である。

Moeran

幼少期から独学でヴァイオリンとピアノを学び、1913年に王立音楽学校へ進学しスタンフォードに師事した。しかし、第一次世界大戦に従軍の折、頭部に重傷を負ったことが、後年、精神疾患を煩う遠因となる。

1920年、王立音楽学校に復学し、卒業後も同校で教鞭をとりながら、出身地であるノーフォーク州を含むイギリス各地の民謡の蒐集や編曲に努めたが、後年はアイルランドへ渡り、作曲活動に専念するが、55歳になった1951年、嵐の中出かけた桟橋から転落し、遺体となって発見される。

今回取り上げる『ヴァイオリン協奏曲』は、1938年、彼の最高傑作として名高い『交響曲ト短調』に引き続いて作曲され、1942年にBBCプロムスで初演された、彼の代表作のひとつである。

通常の協奏曲の形式に従い3つの楽章からなるが、前記の交響曲の悲劇的でモノクロームな曲調とは異なり、独奏ヴァイオリンとオーケストラが、穏やかで色彩豊かな音楽を奏でる。特に第2楽章「ロンド」はケルト音楽の影響が顕著である。

なお、彼に関しては、アンドリュー・ローズ氏による素晴らしいホームページ(英語)が存在するので、ぜひご覧いただきたい。

演奏時間は約33分

【お薦め盤】
リディア・モルドコヴィッチ(Vn)、ヴァーノン・ハンドリー指揮、アルスター管弦楽団(シャンドス)

Moerancd

2007/08/25

ドホナーニ 組曲嬰ヘ短調

ハンガリーの作曲家エルンスト・フォン・ドホナーニ(1877~1960)は、バルトークやコダーイらとともに、近代ハンガリーの音楽界を牽引した人物である。また教育者として、名指揮者となったフリッチャイやショルティ、名ピアニストのアンダやフィッシャーらを育てた。なお現在、指揮者として世界的に活躍しているクリストフ・フォン・ドホナーニは彼の孫にあたる。

Dohnanyi

幼いころより父から音楽の手ほどきを受け、ブダペスト音楽アカデミー(現在のリスト音楽院)に入学し、ピアノと作曲を学ぶ。ピアニストとして名声を得るとともに、ベルリン高等音楽学校や母校のブダペスト音楽アカデミーで教鞭をとる。

1949年、アメリカに移住するが、これは祖国ハンガリーが第2次世界大戦後、ソビエト共産圏に飲み込まれていく中で、祖国に居場所をなくしたためと言われている。

作曲家としては、あらゆる分野で数多くの作品を残していて、演奏会では室内楽作品が比較的よく取り上げられる。ただ、バルトークのように民族色を強く打ち出すことなく、後期ロマン派、とりわけブラームスの影響を色濃く残し、オリジナリティの点からみれば自己主張が弱いとも感じられる。それがドホナーニの音楽の美点でもあり、親しみやすさでもある。

今回取り上げた管弦楽のための『組曲嬰ヘ短調(作品19)』も、ブラームスやドヴォルザークの影響を色濃く残した作品である。
誤解を恐れずに言えば、第1楽章がブラームスのセレナード風、第2楽章がドヴォルザークのスケルツォ風、第3楽章の中間部はロシア国民楽派風、第4楽章の中間部はスペイン風と、まるでヨーロッパ各地の紀行文のような趣(おもむき)を持っている。

聴く者の心を温かくするリリカルな魅力にあふれた作品であり、もっと広く知られてほしいと思う。

演奏時間はおよそ29分

【お薦め盤】
マティアス・バーメルト指揮、BBC交響楽団(シャンドス)

Dohnanyicd


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