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2007年1月

2007/01/20

ウェーベルン 管弦楽のための5つの小品

第二次世界大戦前における前衛音楽の旗手として活躍したアントン・フォン・ウェーベルン(1883~1945)は、シェーンベルク、ベルクとともに新ウィーン楽派の中心的存在であった。また、ヨーロッパ各地で指揮者としても活躍した。

Webern

ウィーンに生まれた彼は、小さいころから音楽に親しみ、19歳のときにウィーン大学で音楽を学ぶ。1904年に作曲された『大管弦楽のための牧歌「夏の風の中で」』で聞かれるとおり、このころの作曲様式は後期ロマン派風の音楽である。

しかし、シェーンベルクに入門してから、彼の作風は大きな変化をみせる。
1908年に「作品1」として発表された三管編成のオーケストラ曲『パッサカリア』は、ニ短調を基本とするが、8音からなる主題がさまざまな形に変化する展開は、後年の音列作法を予感させるものがある。

翌年の『3つの歌曲(作品3)』において無調による作曲技法を取り入れ、以降、『弦楽四重奏のための5つの楽章(作品5)』や『管弦楽のための6つの小品(作品6)』などを次々に発表する。やがて『3つの宗教的民謡(作品17)』を境に、12音技法を用いるようになる。晩年は、図形を用いた作曲を手がけていたとも伝わる。

寡作家として知られ、作品ひとつひとつを磨き上げるように作曲した。ベルクが、12音技法を採りながらも、ほのかに調性感が漂う官能的な作品をつくったのに対して、ウェーベルンは、一音一音を極度に簡素化、抽象化して「明瞭かつ複雑な」音の世界を構築した。こうした彼の実践が、戦後の前衛音楽に大きな影響を与えたことは疑う余地がない。

彼は、1945年、戦火を避けて避難していたザルツブルク近郊の娘の家で、タバコを吸おうとベランダに出て火をつけたところを、アメリカ兵によって誤射殺されてしまう。

今回ご紹介する『管弦楽のための5つの小品(作品10)』は、無調時代の代表作。1911年から1913年にかけて作曲されたが、初演は1926年、スイスのチューリッヒで開催された現代音楽祭で、作曲者自身の指揮により行われた。

作品は、それぞれ数小節から30小節ほどの5曲で構成され、全曲を演奏しても5分に満たない作品である。彼は師のシェーンベルクに宛てた手紙の中で「一種の交響曲のようなもの」「ひとつひとつの楽章が、相互に関係している」とも述べている。

曲はきわめて抽象的で、理解しがたいように思えるが、ひたすら無心になって聴いていると、一曲一曲が「小さな宝石」のように美しく光り輝く。それは俳句や短歌の世界にも通じるようにも思える。また、随所で聞こえるマンドリンやチェレスタ、ハルモニウムなどの音のきらめきが印象的である。

演奏時間は4分半ほど

【お薦め盤】
ピエール・ブーレーズ指揮、アンサンブル・アンテルコンタンポラン(グラモフォン)

Weberncd


【追記】
youtubeに、数多くの音源があります。

2007/01/07

ウィレン 弦楽のためのセレナード

スウェーデンの作曲家ダグ・ウィレン(1905~1986)は、5曲の交響曲をはじめ、管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、合唱曲、オペレッタなど数多くの作品を残しているが、新古典主義を基調とした作風は、明快で親しみやすい。

Wiren_2

1926年からストックホルム国立音楽アカデミーで学ぶが、その時に聴いたオネゲルの劇的オラトリオ『ダヴィデ王』に感銘を受け、1932年に奨学金を得てパリに出て作曲の研鑽を積んだ。ストラヴィンスキーに会ったのもこの時期である。

1935年、母国に戻った彼は、スウェーデン作曲家協会に所属するとともに、翌年から、母校で教鞭を執りはじめる。今回ご紹介する『弦楽のためのセレナード(作品11)』や『交響曲第2番(作品14)』などは、こうした時期の作品で、以降、数十年にわたり精力的に作品を発表する。

1937年に作曲された『弦楽のためのセレナード』は、彼の最もよく知られた作品で、4つの楽章で構成される。どこまでも透明感を失わないメロディや高貴かつモダンなハーモニー、絶妙のリズム感など、センスの良さが随所に表れた名曲であり、弦楽オーケストラにとって重要なレパートリーのひとつとなっている。

演奏時間はおよそ14分半

【お薦め盤】
ギルドホール弦楽アンサンブル(RCA)

Wirencd


【追記】
youtubeに演奏が掲載されています。(2010年2月加筆)
※推薦盤とは異なります。

2007/01/06

ヴィラ=ロボス 黒鳥の歌

ブラジルを代表する作曲家であるエイトル・ヴィラ=ロボス(1887~1959)は、ブラジルの民族音楽をクラシックの伝統的な形式の中に昇華し、きわめてオリジナリティの高い作品を数多く作曲したことで知られ、「ブラジル音楽の父」としてその名を世界にとどろかせている。

Villalobos_2

代表作である『ブラジル風バッハ』(全9曲)は、とりわけ傑作として広く世界に知られていて、彼が敬愛していたJ.S.バッハの組曲の形式に、ブラジル音楽の素材をさまざまな楽器編成を用いてつくりあげた名曲群である。

他にも12曲の交響曲や5曲のピアノ協奏曲、17曲の弦楽四重奏曲など、あらゆる分野にわたって1,000曲を超える作品を残しているが、今回取り上げるのは、1917年に作曲された『黒鳥の歌(黒い白鳥の歌)』である。

この曲は、1916年に作曲された交響詩『クレオニコス号の遭難』の素材を用い、ヴァイオリンとピアノのために編み直したもので、ヴァイオリンの代わりにチェロなどでも演奏される。言うまでもなくこの曲は、サン=サーンスの名曲『白鳥』を意識してつくられていて、チェロのリサイタルでは、対のように演奏される機会も多い。

曲は、ピアノが奏でるアルペジオの上に、独奏チェロが死に瀕した黒鳥の姿を、神秘的かつ感傷的な旋律によって奏でてゆく。短くも、きわめて美しい珠玉の作品である。

演奏時間は約3分

【お薦め盤】
アントニオ・メネセス(Vc)、クリスティーナ・オルティス(Pf)(Intrada)

Vllaloboscd

このCDでは『黒鳥の歌』以外にも、『チェロとピアノのためのソナタ第2番』をはじめ、数多くのチェロ作品を優れた演奏で聴くことができる。

【追記】
youtubeにも多くの映像が掲載されています。※演奏者は異なります。(2009年2月1日加筆)

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