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2006/08/12

ベルリオーズ レスルレクシト(主はよみがえり)

わたしに君を抱擁させておくれ。君はもう医者などではなく、薬剤師でもない。誓って言うが、君は偉大な作曲家なのだ。君には才能がある。わたしがそのように言うのは、それが真実だからなのだ。 (ベルリオーズの師、ル・シュールの言葉)


1825年7月10日、パリのサン・ロック教会の委嘱により作曲・初演されたエクトル・ベルリオーズ(1803~1869)の『荘厳ミサ曲』は、彼の名を一躍とどろかせることになった。

Berlioz2

このときベルリオーズは21歳。家業を継いで医者になるためにパリ医科大学に入学、そこで聴いたオペラに感激し作曲を志し、パリ音楽院教授のル・シュールのもとで学びはじめてから、まだ1年ほどしか経っていない。

当時ベートーヴェンやシューベルトなどが活躍していた時代に、パリではロマン主義芸術の恐るべき才能が育ちつつあったのである。やがてベルリオーズは世紀の傑作、『幻想交響曲(作品14)』により一躍、時代の最先端に躍り出て、大規模な管弦楽を駆使した数多くの名曲を生み出してゆく。

彼の出世作となった『荘厳ミサ曲』は、ベルリオーズ自身の指揮により1827年に再演されたが、やがてこの曲に満足できなくなり、一部を除いて破棄してしまう。このころの彼は作曲技術を格段に進歩させ、ローマ賞にも挑戦していた時期にあたり、過去の作品の稚拙さに我慢がならなくなったのであろう。

この破棄されたはずの『荘厳ミサ曲』は、20世紀末の1991年、アントワープの教会で発見され、幻の作品は思いがけずわれわれの前にその全容を表す。そこには若きベルリオーズの溢れんばかりの天賦の才と自信が刻まれていたのである。

今回ぜひ取り上げたいのは、この『荘厳ミサ曲』の「クレド」の第4曲にあたる「レスルレクシト(主はよみがえり)」である。ミサ曲の中でも最も才気あふれる魅力的な曲で、作曲者自身もこの曲だけは救い上げ、大幅な改訂を行った上で幾度か演奏している。しかし結局、この曲も作曲者により破棄され、歌劇『ベンヴェヌート=チェルリーニ(作品23)』や『レクイエム(作品5)』の中で素材が用いられていくことになる。

冒頭からコーダまで怒涛の勢いで曲は展開し、キリストの復活が歌われていくが、特に中間部において「Cujus regni non erit finis(主の国は終わることなし)」の歌詞にのせて歌われるヒロイックな変ロ長調のメロディーが印象的である。

改訂版は、新たなテクストや挿入句が加えられ合唱や管弦楽の迫力が増しているが、個人的には、初版の方が音楽の流れが自然で好ましい。

演奏時間は約7分半

【お薦め盤】
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮、オルケストレル・レヴォルーショネル・ロマンティーク、モンテヴェルディ合唱団ほか(フィリップス)

Berliozcd


【追記】
youtubeに「改訂版」の映像が掲載されています。(2009年3月加筆)


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