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2006/07/29

アンチェル&チェコ・フィルの『新世界交響曲』

チェコの大作曲家アントニン・ドヴォルザークの『交響曲第9番ホ短調「新世界から」』は、彼の代表作であり、最も人気のある交響曲のひとつである。 特に、ペンタトニック(5音音階)を基本とした郷愁を誘う旋律は、日本人の琴線に深く触れるものであるし、管弦楽法を巧みに駆使したドラマティックな曲運びは、聴く者の心を熱くさせる。


Dvorak_2


思い起こせば小学校時代、音楽の授業でこの曲に出会い、休み時間に皆でよくレコードをかけて聴いていた。
そのレコードに収録されていたのが、このチェコの大指揮者カレル・アンチェルの指揮&チェコ・フィルによる演奏だった。(そのレコードに収録されていたのは、第2楽章と第4楽章のみ)
やがて、同じ演奏のLPレコードを購入し、家でも夢中になって聴いた記憶がある。

中学校時代の音楽鑑賞の時間でも、この曲はヴィヴァルディの『四季』と並ぶ人気曲で、普段クラシック音楽を聴かない体育会系の男子連中までもが、この曲を聴いて「かっこええ!」とつぶやいていたことを、今でも憶えている。

しかし大人になり、ターリッヒ・フリッチャイ・ノイマン・クーべリック・カラヤン・アーノンクールなど、数え切れないほどの名演に接するうちに、あれだけ好きだった、このアンチェルの演奏が「少しストイックすぎるのではないか」「いささか音が古い」などと不満を感じるようになり、いつの間にか距離を置くようになってしまった。

そして、20年ほど前に、ドホナーニ&クリーブランド管弦楽団によるCDに出会い、併録の『第8番』を含め、その端正ながらパワフルな演奏に大きな感銘を受け、「これこそこの曲の決定版ではないか」と考えていた時期が長く続いた。

ところが最近、リマスタリングされたこのCDを購入して聴いたところ、今まで抱いていた懸念を払拭してなお余りある素晴らしい演奏・録音に驚嘆。あらためて、このアンチェル盤にのめり込むことになって現在に至っている。

それ以降、いろいろな演奏会やCDでこの曲に接しても、どこか生ぬるく、物足りなさが感じられて仕方ないのだ。ある意味、困ったものである。


さて、このアンチェル盤、すべてが聴きどころといっても過言ではないが、あえていくつかあげてみると、

第1楽章  第2主題提示後、115小節目からのヴァイオリンで奏される経過句の表情付けの見事さ。

第2楽章  中間部の78小節目、チェロのトレモロに乗って、切々と歌われるヴァイオリン(G線)の望郷のメロディー。

第3楽章  端正ではあるが決然としたスケルツォ主題の提示。トリオ部からスケルツォへの怒涛の回帰。

第4楽章  トランペットとホルンによる第1主題の切れ込みの鋭さ。299小節目から全管楽器で奏される第2楽章序奏部のカデンツに基づく圧倒的なクライマックス。 

全編を通じて、金管やティンパニの鋭く弾力に富んだ音色が心地よい。


【お薦め盤】
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界から」
カレル・アンチェル指揮、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(日本コロムビア)
COCO-70499

Dvorak_sym_no9_2


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コメント

カレル・アンチェルに対する素晴らしい評価☆☆自分も、色んな指揮者の新世界よりを聞いたが…アンチェル指揮のチェコフィルを超えるヴァージョンはなかった…自分と同じようにアンチェルを良く評価してくれる人がいるなんて…嬉しい限りです♪

赤い彗星さん、コメントありがとうございます。
アンチェル&チェコ・フィル、本当に素晴らしいですよね。
名曲は数あれど、決定盤と思える演奏に出会えることは、決して多くない。
そんな中で、自信を持ってお薦めできる名盤だと思います。


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