« 2006年4月 | トップページ | 2006年8月 »

2006年7月

2006/07/30

スッペ レクイエム 

日本では『軽騎兵』『詩人と農夫』などの喜歌劇の序曲で名高いベルギー系オーストリア人の作曲家フランツ・フォン・スッペ(1819~1895)は、生前、「ウィンナ・オペレッタの父」とも呼ばれ、パリのオッフェンバックと人気を二分し、指揮者や歌手としても活躍した。

Suppe_2

現在、彼のライフワークであったはずの喜歌劇(全36作品)は忘れ去られ、もっぱらその序曲のみが演奏されるが、1955年、恩人であったフランツ・ボルコニーの死をきっかけに作曲されたこの『レクイエム』は、隠れた名曲といっても差し支えない。

全体の構成は、モーツァルトの『レクイエム(K.626)』に酷似していて、例えば第3曲の「トゥーバ・ミルム」では、その旋律の明らかな引用を聴くことができる。メロディーメーカーであった彼らしく、親しみやすい旋律と豊かなハーモニーにあふれ、今後、広く親しまれていく可能性を秘めた作品だと思う。

演奏時間は全曲で約70分

【お薦め盤】
ミシェル・コルボ指揮、リスボン・グルベンキアン合唱団&管弦楽団(ヴァージン)

Suppe_requiem_2


【追記】
youtubeにいくつか掲載されています。(2010年3月29日加筆)
※第2曲「ディエス・イレ(怒りの日)」です。
  冒頭の弦の音型は、『詩人と農夫』序曲の嵐の部分を彷彿とさせますね。

2006/07/29

アンチェル&チェコ・フィルの『新世界交響曲』

チェコの大作曲家アントニン・ドヴォルザークの『交響曲第9番ホ短調「新世界から」』は、彼の代表作であり、最も人気のある交響曲のひとつである。 特に、ペンタトニック(5音音階)を基本とした郷愁を誘う旋律は、日本人の琴線に深く触れるものであるし、管弦楽法を巧みに駆使したドラマティックな曲運びは、聴く者の心を熱くさせる。


Dvorak_2


思い起こせば小学校時代、音楽の授業でこの曲に出会い、休み時間に皆でよくレコードをかけて聴いていた。
そのレコードに収録されていたのが、このチェコの大指揮者カレル・アンチェルの指揮&チェコ・フィルによる演奏だった。(そのレコードに収録されていたのは、第2楽章と第4楽章のみ)
やがて、同じ演奏のLPレコードを購入し、家でも夢中になって聴いた記憶がある。

中学校時代の音楽鑑賞の時間でも、この曲はヴィヴァルディの『四季』と並ぶ人気曲で、普段クラシック音楽を聴かない体育会系の男子連中までもが、この曲を聴いて「かっこええ!」とつぶやいていたことを、今でも憶えている。

しかし大人になり、ターリッヒ・フリッチャイ・ノイマン・クーべリック・カラヤン・アーノンクールなど、数え切れないほどの名演に接するうちに、あれだけ好きだった、このアンチェルの演奏が「少しストイックすぎるのではないか」「いささか音が古い」などと不満を感じるようになり、いつの間にか距離を置くようになってしまった。

そして、20年ほど前に、ドホナーニ&クリーブランド管弦楽団によるCDに出会い、併録の『第8番』を含め、その端正ながらパワフルな演奏に大きな感銘を受け、「これこそこの曲の決定版ではないか」と考えていた時期が長く続いた。

ところが最近、リマスタリングされたこのCDを購入して聴いたところ、今まで抱いていた懸念を払拭してなお余りある素晴らしい演奏・録音に驚嘆。あらためて、このアンチェル盤にのめり込むことになって現在に至っている。

それ以降、いろいろな演奏会やCDでこの曲に接しても、どこか生ぬるく、物足りなさが感じられて仕方ないのだ。ある意味、困ったものである。


さて、このアンチェル盤、すべてが聴きどころといっても過言ではないが、あえていくつかあげてみると、

第1楽章  第2主題提示後、115小節目からのヴァイオリンで奏される経過句の表情付けの見事さ。

第2楽章  中間部の78小節目、チェロのトレモロに乗って、切々と歌われるヴァイオリン(G線)の望郷のメロディー。

第3楽章  端正ではあるが決然としたスケルツォ主題の提示。トリオ部からスケルツォへの怒涛の回帰。

第4楽章  トランペットとホルンによる第1主題の切れ込みの鋭さ。299小節目から全管楽器で奏される第2楽章序奏部のカデンツに基づく圧倒的なクライマックス。 

全編を通じて、金管やティンパニの鋭く弾力に富んだ音色が心地よい。


【お薦め盤】
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界から」
カレル・アンチェル指揮、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(日本コロムビア)
COCO-70499

Dvorak_sym_no9_2


2006/07/16

ミヨー スカラムーシュ

第1次世界大戦後のフランスの音楽界で活躍したダリウス・ミヨー(1892~1974)は、あらゆる分野において、膨大な作品を残した稀に見る多作家として知られている。

Milhaud

パリ音楽院でヴァイオリンや作曲、指揮などを学ぶ中で、ドビュッシーやラヴェルに傾倒する。1917年から翌年にかけて、音楽院時代の友人であった詩人ポール・クローデルがブラジル大使へ赴任する際、外交官秘書として随行した。そこでブラジル音楽に魅了され、その影響の下にバレエ音楽『屋根の上の牛』などの名曲が生まれることになる。

帰国後は、オネゲルやプーランクらとともに、後に「フランス6人組」と呼ばれる作曲家集団をつくり、ロマン派や印象派の音楽とは異なる、即物的・新古典的な作品の創造に取り組んだ。

このころから彼は、映画音楽や劇音楽の作曲にも熱心に取り組み、今回ご紹介する2台のピアノのための組曲『スカラムーシュ(作品165b)』も、当時、人気女流ピアニストであったイダ・ヤンケレヴィッチとマルセル・メイエから、1937年のパリ万国博覧会で演奏するための作品を委嘱されたことを機に、つくられたものである。

当初、ミヨーはこの依頼に乗り気ではなく、モリエール原作による劇のための付随音楽『空とぶお医者さん(作品165a)』の旋律をつなぎ合わせただけのつもりだったらしい。しかし、思いもよらず好評を博すことになり、現在に至るまで、ミヨーの最もポピュラーな人気曲として、好んで演奏されている。

全部で3曲からなり、第1曲「ヴィフ(輝かしく、活発に)」は、冒頭から軽快なリズムに乗って華やかなメロディーを奏でる。主旋律が2台のピアノをめまぐるしく行き交うところが聴きどころ。続く第2曲「モデレ(中庸の速度で)」は、第1ピアノの旋律を第2ピアノが応答しながら穏やかに曲が進む。第3曲は「ブラジルの女」と題された陽気なフィナーレ。サンバの特徴的なリズムによるグルーヴ感が楽しい。

演奏時間は約9分

【お薦め盤】
カティア&マリエル・ラベック(フィリップス)

Milhaudcd_2


【追記】
何と、youtubeにアルゲリッチとキーシンによる「超名演」が掲載されています。(2011年3月加筆)

« 2006年4月 | トップページ | 2006年8月 »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

Twitter

無料ブログはココログ

Amazon ウィジェット

  • ウィジェット