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2005/12/24

カプレ 赤死病の仮面

近代フランスの作曲家アンドレ・カプレ※(1878~1925)は、生前は合唱及び歌劇場の指揮者として活躍した。また、ドビュッシーとの親交は有名で、彼の『聖セバスチャンの殉教』や『おもちゃ箱』などの管弦楽配置の補作を行うとともに、『夜想曲』や交響詩『海』など、多くの作品をピアノ連弾用に編曲した。※「キャプレ」ともいう。

Caplet

幼少期からヴァイオリンを学び、優れた楽才を発揮した彼は、18歳の時パリ音楽院に入学し、作曲を学ぶかたわら大指揮者アルトゥール・ニキシュに指揮法を師事し、弱冠21歳で、サン・マルタン歌劇場の音楽監督に就任する。

1910年から1914年の間は、ボストン歌劇場管弦楽団の指揮者の任に就くなど、多忙を極めるが、第1次世界大戦の勃発により従軍、戦場で毒ガスを吸って神経を犯されてしまう。帰還後も後遺症が残り、パリ・オペラ座歌劇場やラムルー管弦楽団などの指揮者を辞め、作曲に専念するが、1925年、腹膜炎を併発し、46歳の若さでこの世を去った。

作曲家としては、1901年、23歳のときにカンタータ『ミュラ(ミルラ)』でローマ大賞を獲得した。ちなみにラヴェルは、この時、第二等次席(第3位)であった。彼は、室内楽曲、歌曲、合唱曲を中心に優れた作品を残しているが、とりわけ宗教曲については、ドビュッシー風の手法に神秘主義的な要素が加味された印象的な作品となっていて、晩年の作である『3声のミサ』やオラトリオ『イエスの鏡』がよく知られている。しかし、ドビュッシーやラヴェルに比べ知名度は低く、今後の再評価が待たれる音楽家のひとりである。

今回取り上げる『赤死病の仮面(La Masque de la mort rouge)』は、1908年から翌年にかけて作曲、初演された彼の数少ないオーケストラ作品のひとつ。ハープと弦楽合奏のための作品で、内容は、エドガー・アラン・ポー(1809~1949)が、1842年に発表した短編小説に基づいている。

「赤死病」とは、黒死病(ペスト)をもじった架空の疫病のこと。この病の流行をよそに、城内で遊興にふける国王と側近が、ある夜開いた仮面舞踏会に紛れ込んだ赤死病の化身によって次々と死に至る、という小説の内容に沿って曲は進行する。

冒頭、ハープが暗く不気味な主題を、途切れ途切れにかき鳴らす。その後、曲は後半の「惨劇の場面」に向かって協奏的に展開。コーダでは冒頭のテーマが戻り、フォルティッシモの総奏により、断ち切られるように物語が閉じられる。

なお、この作品は、1919年にハープと弦楽四重奏のための『幻想的な物語 (Conte Fantatastique)』 として改編されていて、現在では、もっぱらこの版による演奏が行われる。

演奏時間は約17分

【お薦め盤】
フレデリック・カンブルラン(Hrp)、ジョルジュ・プレートル指揮 モンテ・カルロ交響楽団(EMI)

Capletcd


【追記】
演奏者は異なりますが、youtubeに演奏が掲載されています。(2010年9月加筆)
※『幻想的な物語』版です。

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