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2005年12月

2005/12/24

ロパルツ レクイエム

フランスのブルターニュ出身のギィ・ロパルツ(1864~1955)は、フランクの系統に属する作曲家である。

弁護士の父の希望で、大学では法学を専攻するも、やがて作曲家を志し、1886年にパリ音楽院に入学、名教師デュボアに和声法、マスネに作曲を学ぶが、その後、フランクとその一派の音楽に触れ、深く傾倒する。

Ropartz

1894年からはパリを離れ、ナンシー音楽院の院長、1919年からはストラスブール音楽院院長を歴任し、経営面でも大いに手腕をふるった。1929年、同院長を退職後は、故郷のブルターニュ地方に戻り作曲を続けた。 また、不慮の死を遂げた親友マニャールの失われた歌劇『ゲルクール』の再構成に尽力したことでも知られる。

5曲の交響曲をはじめ、室内楽曲やピアノ曲、声楽曲など多くの分野で優れた作品を残しているが、とりわけ、1905年に作曲した『交響曲第3番』は、彼自身のテクスト(彼は詩人としても一流であった)に基づく独唱及び混声合唱を伴う大規模な作品で、傑作の呼び声が高い。

今回ご紹介する『レクイエム』は、1937年から翌年にかけて作曲された彼の代表作のひとつ。
合唱にソプラノとアルトが加わる。全体は8つの部分からなり、フォーレやデュリュフレの作品と同じく、劇的な「セクエンツィア(続唱)」や「ディエス・イレ(怒りの日)」を省く一方で、終曲に「イン・パラディスム(楽園にて)」を置いている。

聴く者の心に、深く深く染み入る珠玉の名作であり、例えば、第6曲「アニュス・デイ(神の子羊)」における静謐で透明感のある合唱と管弦楽の絶妙のハーモニーを、ぜひ聴いてみていただきたい。

演奏時間はおよそ35分

【お薦め盤】
ミシェル・ピクマル指揮、ジャン・ワルター・オードリ・アンサンブル、イル・ド・フランス合唱団ほか(ADDA)

Ropartzcd


【追記】
youtubeに音源が掲載されました。(2010年4月加筆)

カプレ 赤死病の仮面

近代フランスの作曲家アンドレ・カプレ※(1878~1925)は、生前は合唱及び歌劇場の指揮者として活躍した。また、ドビュッシーとの親交は有名で、彼の『聖セバスチャンの殉教』や『おもちゃ箱』などの管弦楽配置の補作を行うとともに、『夜想曲』や交響詩『海』など、多くの作品をピアノ連弾用に編曲した。※「キャプレ」ともいう。

Caplet

幼少期からヴァイオリンを学び、優れた楽才を発揮した彼は、18歳の時パリ音楽院に入学し、作曲を学ぶかたわら大指揮者アルトゥール・ニキシュに指揮法を師事し、弱冠21歳で、サン・マルタン歌劇場の音楽監督に就任する。

1910年から1914年の間は、ボストン歌劇場管弦楽団の指揮者の任に就くなど、多忙を極めるが、第1次世界大戦の勃発により従軍、戦場で毒ガスを吸って神経を犯されてしまう。帰還後も後遺症が残り、パリ・オペラ座歌劇場やラムルー管弦楽団などの指揮者を辞め、作曲に専念するが、1925年、腹膜炎を併発し、46歳の若さでこの世を去った。

作曲家としては、1901年、23歳のときにカンタータ『ミュラ(ミルラ)』でローマ大賞を獲得した。ちなみにラヴェルは、この時、第二等次席(第3位)であった。彼は、室内楽曲、歌曲、合唱曲を中心に優れた作品を残しているが、とりわけ宗教曲については、ドビュッシー風の手法に神秘主義的な要素が加味された印象的な作品となっていて、晩年の作である『3声のミサ』やオラトリオ『イエスの鏡』がよく知られている。しかし、ドビュッシーやラヴェルに比べ知名度は低く、今後の再評価が待たれる音楽家のひとりである。

今回取り上げる『赤死病の仮面(La Masque de la mort rouge)』は、1908年から翌年にかけて作曲、初演された彼の数少ないオーケストラ作品のひとつ。ハープと弦楽合奏のための作品で、内容は、エドガー・アラン・ポー(1809~1949)が、1842年に発表した短編小説に基づいている。

「赤死病」とは、黒死病(ペスト)をもじった架空の疫病のこと。この病の流行をよそに、城内で遊興にふける国王と側近が、ある夜開いた仮面舞踏会に紛れ込んだ赤死病の化身によって次々と死に至る、という小説の内容に沿って曲は進行する。

冒頭、ハープが暗く不気味な主題を、途切れ途切れにかき鳴らす。その後、曲は後半の「惨劇の場面」に向かって協奏的に展開。コーダでは冒頭のテーマが戻り、フォルティッシモの総奏により、断ち切られるように物語が閉じられる。

なお、この作品は、1919年にハープと弦楽四重奏のための『幻想的な物語 (Conte Fantatastique)』 として改編されていて、現在では、もっぱらこの版による演奏が行われる。

演奏時間は約17分

【お薦め盤】
フレデリック・カンブルラン(Hrp)、ジョルジュ・プレートル指揮 モンテ・カルロ交響楽団(EMI)

Capletcd


【追記】
演奏者は異なりますが、youtubeに演奏が掲載されています。(2010年9月加筆)
※『幻想的な物語』版です。

2005/12/17

レスピーギ 交響的印象『教会のステンドグラス』

近代イタリアを代表する作曲家オットリーノ・レスピーギ(1879~1936)といえば、交響詩『ローマの松』をはじめとした「ローマ三部作」に代表されるように、華麗で色彩豊かな管弦楽法の作品がつとに有名であるが、一方で、ルネサンスやバロック期のイタリア音楽の研究に基づく復古調の作品を数多く残している。

Respighi

こうした作品の例としては、16~17世紀のリュート作品を編曲した3つの弦楽のための組曲『リュートのための古風な舞曲とアリア』や鳥をテーマにしたラモーなどのクラヴサン曲を編曲した管弦楽曲『鳥』などが有名であるが、1925年に作曲され、1927年に初演された『教会のステンドグラス』は、グレゴリオ旋法に基づく古典的な音楽の要素と、リムスキー=コルサコフから学んだ管弦楽法の技術が高次元で融合された傑作である。

曲は4つの曲からなるが、1曲目から3曲目までは、数年前に作曲されたピアノ作品を管弦楽に編曲したもの。3管編成によるオーケストラによって、題名のステンドグラスのようにカラフルで荘厳な世界を描き出す。

第1曲「エジプトへの脱出」や第3曲「聖クララの朝の祈り」に聞かれる異国情緒や聖歌のような敬虔な音楽、第2曲「大天使聖ミカエル」や終曲「偉大なる聖グレゴリウス」のマッシヴでパワフルな音楽の対比が鮮やかである。特に、終曲の半ばでオルガンが壮大に鳴り響き、弦楽器群が引き継いでいく部分は、まるで目がくらむような感覚を覚える瞬間である。

演奏時間はおよそ30分

【お薦め盤】
ロペス=コボス指揮、シンシナティ交響楽団(テラーク)

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【追記】
youtubeに音源が掲載されています。(2009年12月加筆)


2005/12/03

シベリウス アンダンテ・フェスティーヴォ

フィンランドが生んだ国民的作曲家ジャン・シベリウス(1865~1957)は、若いころより、フィンランドの神話や叙事詩に基づく作品を、数多く作曲したことで知られる。
日本でも人気が高く、「日本シベリウス協会」がつくられているほどである。

Sibelius

1897年、フィンランド政府から年金を得、作曲に専念し、交響曲や交響詩をはじめ、ほとんどあらゆる分野で作品を残したが、1925年前後を境に、ほとんど作品を発表しなくなってしまう。
その後、91歳で亡くなるまでの30年余、妻の名前から命名したヤルヴェンパーの自宅「アイノラ荘」で過ごし、ラジオから流れてくる自分の曲の演奏を聴くのを楽しみにしていたという。

この『アンダンテ・フェスティーヴォ(祝祭アンダンテ)』は、1922年に弦楽四重奏曲として作曲されたものを、作曲家自身が1930年になって弦楽合奏とティンパニ(任意)に編曲したもの。
荘重でいくぶん感傷的な主題に始まる冒頭から、何度か偽終止を繰り返した後、アーメン終止に至るコーダまでの滔々(とうとう)とした流れは、言葉も出ないくらい感動的だ。

彼にとっても自信作だったらしく、演奏会では幾度となく指揮していて、1939年にフィンランド放送管弦楽団の演奏、作曲者の指揮による放送録音が残されている(シベリウス唯一の録音)。

演奏時間はおよそ5~6分

【お薦め盤】
オスモ・ヴァンスカ指揮、ラハティ交響楽団(BIS)

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【追記】
演奏は異なりますが、youtubeに音源がいくつも掲載されています。(2009年2月1日加筆)

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