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2005年11月

2005/11/13

グリエール ヴァイオリン協奏曲

ベルギー系ロシア人の大作曲家であるレインゴリト(ラインホルト)・グリエール(1875~1956)は、チャイコフスキーらの流れをくむ作曲家として活躍するとともに、ロシア革命後のソビエト連邦時代では、保守派の重鎮として、また作曲家同盟組織委員会議長としても、重要な役割を果たした。

Gliere

モスクワ音楽院で、タネーエフやアレンスキー、イッポリトフ=イワーノフらに作曲を学んだ後、ベルリンに留学するが、やがてロシア革命が終わる1920年からはモスクワ音楽院で教鞭をとり、プロコフィエフやハチャトゥリアンらを育てる。

代表作としては、『赤いケシの花(作品70)』や『青銅の騎士(作品89)』などのバレエ音楽や『交響曲第3番ロ短調「イリヤ・ムーロメッツ」(作品42)』、『コロラトゥーラ・ソプラノのための協奏曲(作品82)』などが知られる。

今回ご紹介する『ヴァイオリン協奏曲ト短調(作品100)』は、彼の最後の作品となった曲で、死の直前に着手されたものの、死により第1楽章がスケッチのまま残され、弟子のリャトシンスキーがオーケストレーションを補筆完成し、1959年に初演された。

81歳の老人の作品とは思えないほど、哀愁を帯びた瑞々しい音楽が展開される。特に、ハープを伴ったソロヴァイオリンにより提示される第2主題の美しさは格別である。

演奏時間はおよそ18分

【お薦め盤】
西野優子(Vn)、ヨンダーニ・バット指揮、フィルハーモニア管弦楽団(ASV)
※併録の交響曲も、名曲・名演!

Glierecd


【追記】
youtubeで作品を聴くことができます。


2005/11/12

ワインガルトナー ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番

フェリックス・フォン・ワインガルトナー(1863~1942)は、オーストリア(現在のクロアチア)に生まれ、ヨーロッパで活躍した大指揮者であり、世界初のベートーヴェン交響曲全集をはじめ、数多くの録音で知られている。
また、彼はリストの高弟として、作曲家としてもオペラや交響曲、協奏曲などの分野で作品を残していて、近年、再評価の機運が高まっている音楽家のひとりである。

Weingartner

今回ご紹介するのは、『ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番ニ長調(作品42-1)』で、1907年に出版された彼の2曲のソナタの1曲。

「序曲」「アリオーソ」「ロンド」の3つの楽章からなり、伝統的な形式に則って作曲されているが、この作品の中核をなす「アリオーソ・アンティコ」と題された第2楽章において、ヴァイオリンによって奏される厳粛かつ連綿たる悲痛な調べは、実に素晴らしい。
このまま埋もれさせておくには、あまりにも惜しい「隠れた傑作」であると僕は思っている。

演奏時間はおよそ30分

【お薦め盤】
佐藤久成(Vn)、柴垣英二(Pf)(ミッテンヴァルト)

Weingartner_violinsonatas


2005/11/10

タネーエフ ピアノ五重奏曲

セルゲイ・イヴァノヴィチ・タネーエフ※(1856~1915)は、日本における知名度は高くないが、ロシア音楽史において、きわめて重要な位置を占めている音楽家である。 ※「タニェエフ」ともいう。

Taneyev

わずか10歳でモスクワ音楽院に入学した彼は、ピアノをニコライ・ルビンシュタインに、作曲をチャイコフスキーに学び、1875年に金メダルを得て卒業。その後は、作曲やピアニストとしての活動に平行して、22歳からチャイコフスキーの後任として母校で教鞭をとり、1885年からは同院長を務めた。彼の元からは、グラズノフ・ラフマニノフ・メトネル・スクリャービン・プロコフィエフ・グリエールなど数多くの優れた作曲家が巣立っている。

対位法の権威として知られ、かつての師であるチャイコフスキーは、タネーエフが住んでいた場所になぞらえ「消防署のとなりのバッハ」と呼び、自作の批評を求めるなど、絶大なる信頼を寄せていたという。

彼自身、歌劇や管弦楽曲から歌曲に至るまで、数多くの作品を残していて、未だ十分に整理・出版がなされていないのが残念であるが、近年では、交響曲や室内楽作品をはじめ、作品のCD化が進んでいて、今回はそうした中の1枚に収められた、1912年作の『ピアノ五重奏曲ト短調(作品30)』を取り上げてみたい。

この作品は4つの楽章で構成され、全編にわたって、ロシア特有の叙情がドイツ風の堅牢な様式をまとって奏でられる。導入部からシリアスかつ緊張度の高い音楽が展開される長大な第1楽章、パッサカリア形式による主題と40の変奏からなる第3楽章など、「ロシアのブラームス」と呼ばれるにふさわしい濃密な音楽を聴くことができる。

演奏時間は約38分

下記のCDは、ロシアと日本の名手たちによる、これ以上望めないほどの名演奏である。ドイツ・グラモフォンというメジャーレーベルからの発売にも喝采を送りたい。

【お薦め盤】
ヴァディム・レーピン&イリア・グリンゴルツ(Vl)、今井信子(Vla)、リン・ハレル(Vc)、ミハイル・プレトニョフ(Pf)

Taneyevcd


【追記】
youtubeに何点か演奏が掲載されています。(2009年12月1日加筆)
※この映像は第4楽章の演奏です。

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