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2005/08/14

スタンフォード アイルランド狂詩曲第1番

今回は、近代から現代にかけてヒューバート・パリーとともにイギリス音楽の再興のきっかけをつくった音楽家サー・チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォード(1852~1924)について記してみたい。

Stanford

アイルランドの首都ダブリンで名家の一人息子として生まれた彼は、両親の影響で幼少期から音楽に親しみ、ヴァイオリンやピアノ、作曲を学んだ。その後ロンドンに渡り、1870年には奨学金を得てケンブリッジ大学で学び、トリニティ・カレッジのオルガニストとしても活躍するようになる。1874年にはドイツに渡り、ライネッケらに師事するが、当時のドイツは、ブラームスやワーグナーに代表されるロマン主義音楽の全盛期にあたり、彼も大きな影響を受けることになった。

1883年にロンドンに王立音楽大学(RCM)が開校すると、その作曲科教授として赴任するとともに、母校ケンブリッジ大学でも音楽部教授として、ホルストやヴォーン=ウィリアムス、ハウェルズをはじめとする数多くの優れた作曲家を育てた。

こうした教育活動の貢献の一方で、イギリスにおいて指揮者として優れた作品の紹介に努めた。彼が取り上げた作品は、ワーグナーやドヴォルザークら海外の優れた作品から、エルガーやパリーをはじめとする同時代のイギリス作品に至るまで、きわめて多岐に及び、以後のイギリス音楽界の発展に果たした役割は計り知れない。

作曲家としては、交響曲(全7曲)や宗教曲などがよく知られているが、母国アイルランド民謡を積極的に取り入れた作品も数多く作曲していて、特に6曲の『アイルランド狂詩曲』は彼の代表作として名高い。今回ご紹介するのは、その中から、1902年に初演された『第1番ニ短調(作品78)』である。(この年、彼は英国王室から「ナイト」に叙されている)

この曲は、ケルト神話の英雄ク・フーリンとその妻エメルの伝説に基づいている。冒頭から金管と打楽器を主体に勇壮な戦闘の音楽が続くが、中間部のアダージョでは弦楽器とハープにより有名なアイルランド民謡『ロンドンデリーの歌』が穏やかに流れる。その旋律を、イングリッシュホルンが受け継ぐ瞬間の美しさは聴きものである。後半では、戦闘の動機と民謡が一体となってクライマックスが築かれてゆく。

なおこの曲は、ドイツの大指揮者のハンス・リヒターに献呈された。

演奏時間は約14分

【お薦め盤】
ヴァーノン・ハンドリー指揮、アルスター管弦楽団(シャンドス)

Stanfordcd


【追記】
youtubeに音源が掲載されています。

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