« 2005年5月 | トップページ | 2005年8月 »

2005年7月

2005/07/23

シャハムのコルンゴルト『ヴァイオリン協奏曲』  

近年、コルンゴルトの再評価に伴い、代表作であるこの『ヴァイオリン協奏曲ニ長調(作品35)』の録音も数多くリリースされ、演奏会で取り上げられる機会も確実に増加している。ファンにとっては、喜ばしい限りである。

僕がこの曲を知ったのは、イツァーク・パールマンのヴァイオリン、アンドレ・プレヴィン指揮&ピッツバーグ交響楽団によるCD(東芝EMI)を購入したことに始まる。しかし、そもそもこのCDを買おうと思ったのは、カップリング曲のゴルトマルクの『ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調』を聴きたかったからであり、当時は、アメリカの作曲家?のコルンゴルトなど興味もなかった。

さっそくお目当てのゴルトマルクを聴いて、曲の良さは一応わかったが、演奏は生ぬるく、録音がまったくさえない・・・。当時のEMIは、デジタル録音の導入やCD化以降も、相変わらず高音がくぐもったような録音が非常に多く、ジャン・フィリップ・コラールによるサン=サーンスのピアノ協奏曲全集など、ひどい録音(『レコ芸』の録音評は、なぜか点数が高かった)に、深く失望した記憶がある。

その後、しばらく放置していたCDを、なぜまた聴こうと思い立ったのかは今となっては思い出せないが、おそらく初めて耳にしたコルンゴルトの曲を聴いて、「うん? なかなかいい曲じゃないか・・・」と感じたのは確かである。


Korngoldphoto


そして何度か聴き返すうちに、隠れた名曲であることを確信し、この作曲家のことを調べて、彼の恐ろしいまでの神童ぶりに驚き、夢中になった。ちょうど世間でも、コルンゴルトのリバイバルが起こりつつあり、ドイツ北西部に本拠を置き、ユニークな選曲のCDを発売することで話題のCPOレーベルでは、管弦楽曲全集のプロジェクトが進行していたのである。

しかし、相変わらずこのヴァイオリン協奏曲の現役盤は、演奏も録音もいまいちなこのEMI盤しかなかった。「もっといい録音で聴きたい」という想いは募るばかりであった。

そこに登場したのがこの、ヴァイオリン界の俊才ギル・シャハムによる録音である。期待に胸はずませて飛びついたのは当然である。そして、素晴らしい演奏と録音に大いに満足し、しばらく夢中になった。

曲は伝統的な3楽章形式にしたがうが、どの部分をとっても美しさの限りだ。世紀末ウィーンの香りとハリウッドの映画音楽のゴージャスかつセンチメンタルな音世界が絶妙にミックスされている名曲である。

いくぶん線の細さを感じさせつつも、艶のあるシャハムのヴァイオリンの音色は、この曲の性格にぴったりで、恐ろしいまでの超絶技巧を要求されるはずのテクニックの不安を微塵も感じさせない。指揮のプレヴィンもパールマンのときとはうって変わって素晴らしく、ロンドン響の演奏も申し分ない。

その後、初演時からこの曲を愛奏していたというハイフェッツの名演に接し、大いに感銘を受けるなど数多くのCDを聴いてきたが、僕にとってこのシャハム盤は、まったく色あせることない不動のベストワンであり、初めてこの曲を聴く人にも、強くお薦めしたい。

【お薦め盤】
Violin Concertos / Much Ado About Nothing Suite
ギル・シャハム(Vn)、アンドレ・プレヴィン指揮、ロンドン交響楽団(グラモフォン)

1993年録音

Korngoldcd2


クラウス 交響曲嬰ハ短調

18世紀におけるスウェーデンを代表する作曲家であるヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756~1792)は、「スウェーデンのモーツァルト」と呼ばれるが、まさにモーツァルトと同じ年に生まれ、1年違いで亡くなっている。

Kraus

当時、神聖ローマ帝国のマインツ選帝候領であったミルテンベルク(現在のドイツ・バイエルン州)に生まれ育ち、哲学や法学など多方面に通じた才能の持ち主で、1781年に、スウェーデン国王グスタフ3世の宮廷音楽家として迎えられストックホルムに移り住む。ハイドンやモーツァルトとも交流を持ち、ハイドンはクラウスのことを「真の天才」と賞賛している。

短い生涯の中でオペラや管弦楽曲、室内楽曲、声楽曲に至るまで数多くの作品を残しているが、今回ご紹介するのは、現在12曲ほどが残されている交響曲の中から、代表作の一つ『交響曲嬰ハ短調(VB140)』である。全体は4つの楽章からなり、特に第1楽章や終楽章では、当時の「疾風怒濤(Sturm und Drang)」運動の影響を受けた嵐のような激しくうねる弦楽器のメロディーやホルンの咆哮(ほうこう)が印象的で、大きな聴きどころとなっている。

1792年3月、彼が仕えていたグスタフ3世が、劇場で観劇中に銃殺されるという悲劇に見舞われる。悲しみの中、その追悼のため『葬送交響曲(VB148)』を作曲し、同年12月、その後を追うかのように逝去する。享年36歳であった。

演奏時間は約20分


【お薦め盤】
ペッター・スンドクヴィスト指揮、スウェーデン室内管弦楽団(ナクソス)

モダン楽器による非常にみずみずしい演奏を聴かせてくれる傑作CDで、上記の『葬送交響曲』も入っている。

Krauscd


【追記】
youtubeに音源が掲載されています。


« 2005年5月 | トップページ | 2005年8月 »

2016年10月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

Twitter

無料ブログはココログ

Amazon ウィジェット

  • ウィジェット