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2005/05/14

メンデルスゾーン 序曲『フィンガルの洞窟』

フェリックス・メンデルスゾーン(1809~1847)の業績については、ここで詳細に述べるまでもないが、ドイツ・ロマン派初期の大作曲家であり、生前は指揮者やピアニストとしても活躍。とりわけ、J.S.バッハの『マタイ受難曲』の復活上演やシューベルトの『交響曲ハ長調』の初演を行うなど、音楽史においてもきわめて重要な役割を果たしたことで知られている。

Mendelssohn

彼のフルネームは、「ヤコプ・ルートヴィヒ・フェリックス・ メンデルスゾーン・バルトルディ」といい、ハンブルクの裕福な銀行家の息子として生まれた。幼少期から早熟の天才として知られ、16~7歳のときに作曲した『弦楽八重奏曲変ホ長調(作品20)』や『「真夏の夜の夢」序曲(作品21)』の完成度を聴けば、驚愕の才能のほどが実感できるだろう。

文豪ゲーテに認められ、ケルビーニやロッシーニ、フンメルら先達の知遇を得る一方で、ショパンやシューマンら同世代の作曲家らと交友を深めるなど、縦横無尽の活躍ぶりは有名で、1835年には、ライプチヒのゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者に迎えられ、当楽団の発展の基礎を築いた。

1843年に、かねてより念願であった音楽院をライプチヒで開校し、盟友シューマンを教授に招聘。また、ヨーロッパ各地で演奏会を行うなど、活動がますます広がりつつあった彼は、1847年、イギリスに向かう船上で姉ファニーの死という悲報に接することになる。最大の理解者であり、心の支えでもあった姉の死は、彼にとって痛恨事であったと思われ、ショックのあまり精神に異常を来し、再び回復することなくこの世を去った。時に38歳の若さであった。

作曲家として、あらゆる分野で膨大な作品を残したが、かねてより管弦楽曲の傑作として名高いのが、1830年に作曲され、1832年にロンドンで初演された演奏会用序曲『フィンガルの洞窟(作品26)』である。

20歳の時のイギリス旅行の途中、スコットランドのヘブリディーズ諸島のスタファ島を訪れた彼は、フィンガルの洞窟の景色に強い感銘を受け、冒頭の主題を思い付き、姉への手紙にその旋律とともに感動を伝えたという。

曲は、導入部を持たないソナタ形式。ヴィオラ・チェロ・ファゴットで奏される第1主題は、下降を繰り返すモチーフが印象的で、まるでさざ波のようでもあり、神秘的な雰囲気を持ち合わしている。続く第2主題はチェロとファゴットによる憧れに満ちた歌謡主題で、曲はこの2つの主題、とりわけ第1主題のモチーフが重要な役割を果たす。ワーグナーの賞賛の声にあるとおり、まるで優れた絵画を見るような不滅の名曲である。

それにしても、以前はもっと頻繁に演奏されていたように思うが、最近は取り上げられる機会がめっきり減ったように感じるのは、僕の気のせいだろうか。

演奏時間はおよそ11分

【お薦め盤】
クラウディオ・アバド指揮、ロンドン交響楽団(グラモフォン)

Mendelssohncd


【追記】
youtubeに、洗足学園音楽大学の演奏が掲載されていました。なかなかの名演です。
※冒頭から30秒くらいまでは「音のみ」が続きますので、ご注意を!


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