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2005/04/16

馬思聡 無伴奏ヴァイオリンソナタ

今回は中国の作曲家、馬思聡(マー・スツォン 1912~1987)を取り上げる。
なお、中国にかかわる作曲家というと、どうしても江文也(1910~1983)の悲劇を語らなければならないが、このことは後日、改めて述べることにしたい。

馬思聡は、中国における初の国際的ヴァイオリニストであり、教育者としての優れた業績とともに、近年は、作曲家としての再評価も著しい。

Masicong

中国の広東省に生まれた彼は、11歳のときにフランスに渡りヴァイオリンを学ぶ。1931年にパリ音楽院でヴァイオリンや作曲を学ぶとともに、中国の伝統音楽の語法を西洋音楽に取り入れた作品を数多く発表した。

その後、帰国して、中央音楽学院で院長の職を務めるが、1966年に文化大革命がはじまると「ブルジョワ思想に染まった反動的権威主義者」とレッテルが貼られ、彼の作品が演奏禁止となるなど迫害を受け、アメリカに亡命する。1985年に名誉回復がなされるが、帰国せず、その2年後アメリカで死去する。75年の波乱にとんだ生涯であった。

近年、今回ご紹介するヴァイオリニストの劉薇(リュウ・ウェイ)氏らの尽力により、フランスやアメリカ、台湾などに散逸していた楽譜がまとめられ、復活演奏されるようになった。

彼は、ヴァイオリンのための作品を中心に、歌劇やバレエ音楽、交響曲など幅広い作品を残していて、その作風は、確かな西洋の近代的語法の中に、中国の民族色(漢民族だけでなく、周辺民族も含む)を巧みに織り交ぜたもので、中でも『無伴奏ヴァイオリンソナタ』は、同時期に作曲された『阿美組曲』などとともに、彼の代表作のひとつである。

全体は3つの楽章からなり、バルトークやイザイ、遠くはJ.S.バッハの作品の延長線上にありながら、随所に中国の伝統音楽(伝統劇)の響きが聞かれる。1974年、亡命先のアメリカで作曲された作品で、母国を追われてもなお、そのアイデンティティに基づく作品を書き続けた彼の心中は、察するに余りある。

演奏時間は約22分

【お薦め盤】
劉薇(AURORA)

Masicongcd


【追記】
ごくごく短いのですが、youtubeで彼の演奏する姿が掲載されています。(2009年2月1日加筆)


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