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2005/04/09

多田武彦 男声合唱組曲『雪国にて』

「タダタケ」の愛称でも知られる多田武彦(ただ・たけひこ、1930~  )は、男声合唱の分野で広く知られている作曲家である。

大阪市生まれ。京都大学在学中、大学の男声合唱団の指揮者として、団の発展に貢献する。また、同じ大阪出身の作曲家である清水脩から多くの示唆(指導・助言)を受けた。

大学卒業後は銀行に勤務しながら、日曜作曲家として多数の作品を発表。1961年、全日本合唱コンクールの課題曲入選に続き、1963年には文部大臣奨励賞を受賞した。銀行を退職した後も、作曲や合唱指導など、全国各地で活躍を続けている。

彼は、これまでに70を超える作品を発表。そのほとんどが男声合唱組曲であり、今回ご紹介する作品も、その中のひとつ、堀口大學(1892~1981)の詩による無伴奏男声4部合唱曲『雪国にて』 である。

この作品は、上智大学グリークラブの委嘱により、1978年に作曲、北村協一の指揮で初演された。
かねてより堀口大學の詩に感銘を受けていた作曲者が、雪国に関する詩から6編を選び、組曲とした。曲は、「関川にて」「或る誕生」「雪の中の歌」「昔の雪」「老雪」「雪中越冬」からなり、第1曲と第6曲にテノールソロが、第3曲にバリトンソロが入る。

僕はかつて、男声合唱組曲『富士山』をはじめ、多田作品をいくつか歌った経験があり、とりわけこの『雪国にて』は大きな感銘を受けた名曲、懐かしい思い出の曲でもある。中でも、5曲目の「老雪(ろうせつ)」は、春が近づき溶けてゆく雪を、老いてゆくわが身に例えて切々と歌われ、全曲の白眉となっている。

「老雪」の歌詞は次のとおり。

北国も弥生半(やよいなか)ばは
雪老いて痩せたりな
つやあせて 香(か)の失(う)せて
わが姿さながらよ
咲く花は 見ずて消ゆ

 堀口大學 詩集『夕の虹』より


現在、初演を担った指揮者とその後輩たち、日本で初の男声合唱団でもある関学グリーによるCDが入手可能であり、機会があればぜひお聴きいただきたいと思う。

演奏時間はおよそ14分


【お薦め盤】
北村協一指揮、関西学院グリークラブ、保坂博光(Ten独唱)(東芝EMI)

Tadacd


【追記】
ご紹介した『雪国にて』ではありませんが、代表作である男声合唱組曲『富士山』を作曲者自身が指揮した映像が、youtubeに掲載されました。(2012年7月8日追記)


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