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2005/03/06

外山雄三 ヴァイオリン協奏曲第1番 

外山雄三(とやま・ゆうぞう、1931~  )は、現代日本を代表する優れた指揮者のひとりであり、作曲家としても数多くの作品を発表している。

最もよく知られている作品は『管弦楽のためのラプソディ』で、比較的大きな編成を要求する曲にもかかわらず、多くの日本民謡が登場する賑やかで親しみやすい内容のため、プロ・アマ問わず、国内のオーケストラにより盛んに演奏されている。

今回取り上げる『ヴァイオリン協奏曲(作品40)』は、1963年に、当時NHK交響楽団のコンサートマスターであった海野義雄の依頼により作曲されたもので、ほぼ同時期に作曲された『交響曲「帰国」(作品53)』と同様、日本的リリシズムが横溢する作品で、作曲家若き日の代表作として知られている。

昔、TV番組「題名のない音楽会」の日本のヴァイオリン協奏曲特集で、司会の黛敏郎が、貴志康一や武満徹の作品とともに、この曲を取り上げていたことが思い出される。

曲は伝統的な3楽章からなり、第1楽章モデラートでは、冒頭、独奏ヴァイオリンによる長いカデンツァを経て、やがて粘着力の強い民謡風の主題が提示される。(僕はこの主題を聞くといつも、美空ひばりの『りんご追分』を連想してしまう・・・)
この主題には全曲を通じて登場する重要なモチーフが含まれ、序々に勢いを増し、全楽器で朗々と奏される中、壮大なクライマックスを形づくる。

第2楽章アンダンテは、全43小節の短い楽章である。上記モチーフに導かれて子守唄のような主題が歌われるが、これは宮崎県民謡の『刈干切唄(かりぼしきりうた)』に基づくもの。この主題がピアニッシモで消えていくと、アタッカでアレグロの賑やかなフィナーレに突入する。ここでは、ヴァイオリンのリズミカルなフレーズ(途中には三味線を模した部分が挿入される!)や打楽器(ドラム、ボンゴ)の活躍が聞きもので、全203小節を疾風のごとく駆け抜ける。

なお、この作品は同年の尾高賞に選ばれている。

数年後に彼は、東京フィルハーモニー交響楽団のために2作目となる『ヴァイオリン協奏曲(作品60)』を作曲していることから、この作品は『第1番』とも呼ばれる。この他、ヴァイオリンのための協奏的作品としては、2002年に作曲された『ヴァイオリンと管弦楽のためのエレジー(作品230)』がある。

演奏時間はおよそ16分

【お薦め盤】
海野義雄(Vn)、外山雄三指揮、NHK交響楽団(コロムビア)

この初演者による演奏CDは、録音は若干ひずみ感があるが、なかなかの熱演。しかし、そろそろ『第2番』を含め新録音を望みたいところだ。

Toyamacd


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