« チャドウィック 交響的スケッチ | トップページ | イッポリトフ=イワーノフ 聖金口イオアン聖体礼儀 »

2005/01/16

芥川也寸志 絃楽のための三楽章<トリプティーク>

戦後日本を代表する作曲家の一人である芥川也寸志(あくたがわ・やすし、1925~1989)は、指揮者や教育者として、さらには日本音楽著作権協会(ジャスラック)の初代理事長として、日本の音楽界の発展に大きく貢献した人物である。

Akutagawa

「文豪」芥川龍之介の三男として東京に生まれた彼は、幼少の頃から父の遺品であるSPレコードを通じて音楽に親しみ、やがて作曲家を志すようになる。猛勉強の末、東京音楽学校予科に入学するが、学徒動員により中断。終戦後、復学し、そこで講師として大学に迎えられていた伊福部昭に師事し多大な影響を受ける。この出会いが彼の音楽家としての方向性を決定付けることになった。

大学卒業後、『交響三章』(1948年)、『交響管絃楽のための音楽』(1950年)、『交響曲第1番』(1954年)など作品を次々と発表。これらは、師の伊福部昭をはじめ、彼が傾倒したプロコフィエフ、カバレフスキーなどの影響を受けながらも、彼独自の語法である親しみやすいリズムやメロディーが大きな魅力で、演奏会で取り上げられる機会も多い。

他にも、大江健三郎の台本による歌劇『ヒロシマのオルフェ』、インドの石窟院からインスピレーションを得て作曲された『エローラ交響曲』などが代表作として知られるほか、『砂の器』『八つ墓村』をはじめとした映画音楽やNHK大河ドラマ『赤穂浪士』のテーマ音楽、童謡『ことりのうた』など、一般に広く親しまれている作品も数多い。

彼は、テレビ番組『音楽の広場』や『N響アワー』、ラジオ番組『100万人の音楽』の司会者としても知られるが、僕自身も、これらの番組を毎週楽しみにしていた記憶がある。

彼の著作である『音楽の基礎』(岩波新書)は、素人にもわかりやすい内容でありながら、きわめて示唆に富んだ名著であり、表紙がボロボロになるまで愛読した。僕は高校時代に、『芥川也寸志の作曲講座』という通信講座を受講していたことから、彼に対しては格別の思い入れがあり、僕自身の音楽に関する基礎知識の多くは、彼から学んだものと言っても過言ではない。

さて、今回取り上げる『絃楽のための三楽章<トリプティーク>)』は、当時NHK交響楽団の常任指揮者であったクルト・ヴェスの依頼により、1953年に作曲された弦楽合奏のための作品で、ニューヨーク・フィルの演奏によりカーネギー・ホールで初演された。

「トリプティーク」とは「三連画」という意味で、3つの楽章を通して、弦楽器の多彩な表現力や運動性を最大限に生かした名曲である。とりわけ「子守唄」と名付けられた第2楽章アンダンテの日本情緒にあふれた節回しには、抗しがたい魅力がある。

演奏時間は約13分

彼の手兵でもあり、同志とも呼ぶべきオーケストラとの共演による記念碑的名盤で聴いてみたい。

【お薦め盤】
芥川也寸志指揮、新交響楽団(フォンテック)

Akutagawacd

« チャドウィック 交響的スケッチ | トップページ | イッポリトフ=イワーノフ 聖金口イオアン聖体礼儀 »

作曲家、この一曲(ア行~カ行)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/46318/50824668

この記事へのトラックバック一覧です: 芥川也寸志 絃楽のための三楽章<トリプティーク>:

« チャドウィック 交響的スケッチ | トップページ | イッポリトフ=イワーノフ 聖金口イオアン聖体礼儀 »

2016年10月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

Twitter

無料ブログはココログ

Amazon ウィジェット

  • ウィジェット