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2004/12/23

アーン 恍惚のとき

ドイツ人の父とバスク系スペイン人の母の子としてベネズエラで生まれたレイナルド・アーン(1875~1947)は、第1次世界大戦前後のフランス、いわゆる「ベル・エポック時代」の作曲家として活躍した。『失われた時を求めて』で有名な作家、プルーストと深い親交があったことでも有名である。

Hahn

外交官であった父の影響で幼少期から音楽に親しみ、3歳のときに家族とパリに移住する。
1885年、パリ音楽院に入学し、マスネやサン=サーンスらに師事するとともに、上流社交界のサロンでは、持ち前の美声で自作やシューベルト、フォーレの歌曲を弾き語りする天才少年として名を知られるようになる。

後に彼はフランスに帰化し、1934年からフィガロ紙の音楽批評を担当した後、1945年には、パリ・オペラ座の監督に就任するなど、幅広く活躍した。

生涯に、歌劇やバレエ音楽をはじめ、協奏曲や室内楽曲、ピアノ曲などあらゆる分野で数多くの作品を残したが、そのほとんどは、未だ顧みられることはないのが残念である。今日、最も知られている作品はサロン時代の歌曲、中でも1887年、15歳のときに作曲したヴィクトル・ユーゴーの詩による歌曲『私の詩に翼があったなら』である。

今回、ぜひご紹介したいのは、アーンが16~19歳の時にポール・ヴェルレーヌの詩に作曲した7曲からなる歌曲集『灰色の歌』の第5曲「恍惚のとき(L’heure exquise)」である。

それにしても、何と美しく、気品のある曲だろう・・・、僕がこの曲を初めて聴いたのは、慶應義塾ワグネルソサエティ男声合唱団の演奏会だったが、すぐにこの曲の虜になってしまった思い出がある。ピアノが曲を先導する役割を担っていて、アーチを描くような2小節のフレーズの繰り返しが、色彩をさまざまに変化させながら、至福の世界を描いてゆく。

20歳に満たない青年の作とは信じられない、まさに奇跡の作品である。

次に歌詞の一部を示す。

白い月が 森の中で輝いている
枝々から もれるささやき
葉むらの陰に

おお、愛する人よ

深い鏡のような池が 風がすすり泣く
ヤナギの影を 水面に映している

さあ、夢見よう、この妙なる時間に(以下。続く)

演奏時間はおよそ2分半

【お薦め盤】
スーザン・グラハム(Ms)、ロジャー・ヴィニョーレス(Pf)

※なお、この演奏では、原曲(ロ長調)を嬰ハ長調に移調して歌っている。

Hahncd


【追記】
youtubeに音源が掲載されています。(2009年12月1日加筆)


他にも、人気のカウンターテノール歌手、フィリップ・ジャルスキーの名唱が掲載されています。
こちらもぜひ。

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