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2004/11/28

マーラー 花の章

グスタフ・マーラー(1860~1911)を、どの国の作曲家と呼ぶべきだろうか。

「私は、三重の意味で故郷がない。オーストリアにおいてはボヘミア人として、ドイツではオーストリア人として、そして、この世においてはユダヤ人として」

彼は、オーストリア=ハンガリー帝国領であったイーグラウ近郊のカリシュト村(現チェコ共和国)に生まれたが、上記の言葉にあるとおり、生涯、自分の出自について複雑な思いを抱いていたことは間違いない。

Mahler_2

マーラーについて、僕がここで詳しく述べる必要はないだろう。

現在では、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍した大作曲家として知られているが、生前はもっぱら卓越した指揮者として有名であった。
未完も含めて残されている11曲の交響曲や歌曲は、現在、世界各地で頻繁に演奏されているが、今回、取り上げるのは、管弦楽のための『花の章』である。

この曲は、後に『交響曲第1番ニ長調』となる『交響詩「巨人」』が1888年に発表された際、その第1部「若人、美徳、結実、苦悩のこと」に含まれていた楽章で、1896年、ベルリンでの演奏に際して彼は、この交響詩を全面改訂し、『花の章』を削除し、現在知られる4楽章構成の「交響曲」としたのである。

この『花の章』は、彼がカッセル王立劇場の楽長として活躍していた1884年、24歳のときに作曲した彼の最初期の管弦楽作品といわれていて、戦災で焼失し、現在は残っていない付帯音楽『ゼッキンゲンのラッパ手』の間奏曲として書かれた。

当時、何人かの女性(既婚者を含む)と恋に落ち、騒動にまでなったといわれているが、トランペットのソロによる美しくも憂いを含んだハ長調の主題や、中間部にオーボエで奏される、もの思いに沈むようなイ短調の旋律に聞かれるように、彼にとってこの曲は、忘れがたい青春の記憶を深く刻み込んだ作品なのだろう。

なお、この作品は、長い間所在が不明だったが第2次世界大戦後に発見され、1967年にベンジャミン・ブリテンの指揮によって蘇演された。

演奏時間はおよそ8分。

【お薦め盤】
カール・アントン・リッケンバッヒャー指揮、バンベルク交響楽団(ヴァージン)

Mahlercd


【追記】
youtubeに、この曲の演奏が掲載されています。
※演奏者は異なります。

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