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2004/09/18

ヴォーン・ウィリアムズ 交響曲第5番

近代イギリスが生んだ偉大な作曲家のひとり、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(1872~1958)は、イングランド民謡の採取や宗教音楽の研究を通じて、イギリスの国民楽派ともいえる作風を確立し、数多くの作品を生み出した。
※なお、彼の名前は比較的長いので、略してRVWと書かれることも多い。

Rvw

最もよく知られる作品は、おそらく『グリーンスリーヴスによる幻想曲』であろうが、他にも『トーマス・タリスの主題による幻想曲』や『揚げひばり』(原題のThe Lark Ascendingの方が、曲のイメージに近い)など、イギリスの田園風景を思わせるような美しい曲を数多く残している。また、宗教曲や合唱曲にも傑作が多い。

今回、ご紹介するのは『交響曲第5番ニ長調』。
第2次世界大戦の最中、彼が70歳を過ぎた1943年に発表された交響曲である。

第1楽章冒頭、ホルンに導かれたヴァイオリンによって奏される穏やかで美しい民謡風の旋律が、まるでターナーの水彩画のような雰囲気を醸し出す。優しくはあるが、どこか緊張感が漂う音楽である。

特に、第3楽章の「ロマンツァ」は最大の聴きどころで、コール・アングレによる導入部に引き続いて弦楽器で静かに歌われる主題は、人生の喜怒哀楽を知りつくした作曲家の眼差しのように温かく、聴く者の心に深くしみ込んでくる。中間部では、ところどころ金管による鋭いエピソードが挟まれるが、やがて冒頭の主題が、人生の夕映えを写すかのように戻ってくるところは、息が止まるほど美しい。

私事で恐縮だが、この楽章を初めて聴いた時、せきを切ったように涙があふれてきて止まらなかった記憶がある。それ以降、僕にとって最も大切な曲のひとつだが、困ったことに、今でも、この曲を聴くと反射的に涙がにじんでくるため、人前や車の運転時には聴かないよう、気をつけている。

全部で9曲ある彼の交響曲の中では、比較的編成も小さく親しみやすい曲調ゆえか、日本で演奏される機会が最も多い。

演奏時間は、およそ40分

古くはボールトやプレヴィン、近年ではアンドリュー・デイヴィス(いずれも交響曲全集を完成)など、名指揮者による数多くの名録音があるが、ここでは、絹のように柔らかな音色が特徴の、マリナー盤を紹介しておく。

【お薦め盤】
ネヴィル・マリナー指揮、アカデミー室内管弦楽団(コリンズ)

Vaughanwilliamscd


【追記】
youtubeに、いくつかの音源が掲載されています。(2009年2月1日加筆、2013年1月2日修正)
※お薦め盤とは異なります。


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