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2004/09/18

スクリャービン ピアノソナタ第4番

帝政ロシア期の代表的作曲家であるアレクサンドル・ニコラエヴィチ・スクリャービン(1872~1915)は、生前はラフマニノフとともに、ロシア・ピアニズムの流れをくんだ優れたピアニストとして、世界各地で演奏活動を行った。

Scriabin

モスクワの貴族の家に生まれ、幼少期から優れた音楽の才能を発揮した彼は、モスクワ音楽院でコニュス、タネーエフ、アレンスキーらにピアノや作曲を学び、1891年、同窓のラフマニノフとともに金メダルを得て卒業した。1898年からは、母校のピアノ科教授となる。

作曲家としては、43年の決して長くない生涯に数多くの作品を残したが、そのほとんどがピアノ曲である。
若いころは、ショパンやシューマンら、ロマン派の影響を強く受けた美しく叙情的な作品を数多く作曲したが、モスクワ音楽院教授を辞任した1902年頃から神秘主義に傾倒するようになり、それに伴い、作品も調性や旋律、形式が曖昧かつ自由になっていった。

後年は「神秘和音」と呼ばれる独特の響きを作品に取り入れたり、鍵盤の操作で色の光が映し出される「色光ピアノ」を用いて、聴覚と視覚に訴える芸術作品を試み、さらに演劇・ダンス・音・光・詩・匂いなどによる総合芸術作品『神秘劇』の実現を目指したが、1915年、敗血症のために急逝した。

代表作としては、「法悦の詩」の題名を持つ『交響曲第4番(作品54)』や10曲のピアノソナタなどがあるが、今回取り上げたいのは『ピアノソナタ第4番嬰ヘ長調(作品30)』である。

この作品が作曲された1903年は、彼の人生の転機でもあり、作風もロマン派の影響から脱して、属7や属9といった和音を多用した、彼独自の官能的な音楽が確立される時期に当たる。

2つの楽章からなるが、切れ目なく演奏される。第1楽章アンダンテは、第2楽章の序章とも考えられ、次の『ピアノソナタ第5番(作品53)』以降が、全て単一楽章のソナタになっていることを思えば、その予兆と思えなくもない。

冒頭から、幻想的で美しいテーマに心を奪われるが、やがてヴォランド(翔ぶように)と指示されたプレスティッシモ楽章に突入し、フォルティッシモで冒頭のテーマが再現され、躍動的で輝かしいクライマックスを迎える。

短い中にも、スクリャービンの音楽の魅力がいっぱいに詰まった、大傑作であると思う。

演奏時間は8~9分

【お薦め盤】
ウラディーミル・アシュケナージ(ロンドン)

Scriabincd


【追記】
youtubeにも多くの演奏が掲載されています。(2009年2月1日加筆)
※もちろん演奏は異なります。


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