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2004/08/21

マニャール 正義の賛歌

フランス近代の作曲家アルベリック・マニャール(1865~1914)は、フランク亡き後のフランスの代表的なシンフォニストである。

パリ音楽院でマスネに作曲法を学ぶが、卒業後、ダンディに4年間師事し、厳格な書法を学んだことが彼の作曲家としての方向性を決定づけることになった。

彼の作品は、フランスの作曲家でありながら、ドイツ後期ロマン派の影響の下、古典的な形式に基づいて書かれており、「フランスのブルックナー」とも呼ばれたほど。ベートーヴェンのように、作品の精神性を重んじた彼は、自分の作品にも厳しく、生涯に21の作品(そのほとんどが自費出版)しか残さなかった。

Magnard

今回取り上げる『正義の賛歌(作品14)』は、1894年、フランス軍内で起こった冤罪事件として有名なドレフュス事件を扱った管弦楽曲で、真面目で正義感の強かった彼の性格が表れたかのようなドラマチックな展開は、聴く者の心を熱くさせる。1903年1月の初演の際は、聴衆の熱狂的な歓迎を受けた。

冒頭、いきなり事件現場に放り出されたかのようにフォルティッシモで奏される第1主題、特に21小節目からヴァイオリンによる「理不尽な出来事に、怒りを押さえ切れない」感情を表す旋律はきわめて印象深い。それにクラリネットによる静かな祈りのような第2主題が続き、以降、曲はさまざまに展開する。終盤になると、曲は長調(ロ短調→ロ長調)に転じ、金管楽器が高らかに勝利のコラールを響かせ、その喜びを弦が引き継ぎ、美しく穏やかな光の中、曲は閉じられる。

演奏時間はおよそ15分

CDでは、マニャールの作品を精力的に取り上げ、再評価のきっかけをつくったプラッソン盤が、曲に深く共鳴した素晴らしい演奏を聴かせてくれる。

なお、マニャールには49歳の時、生涯最大の悲劇が訪れる。

1914年、第1次世界大戦が勃発。フランスとドイツも間に戦争が起こったため、彼は、妻と子どもを避難させ、バロンの邸宅を守りつつ作曲を続けていたところに、ドイツ兵が敷地内に侵入してきたため、銃を取り応戦。2階の窓から発砲して2人の兵士を殺害するも、銃撃戦の末、彼も射殺される。そして、屋敷に火が放たれ、歌劇『ヨランド』の総譜や最後の作品『12の音楽詩』(22番目の作品になるはずだった!)をはじめとする貴重な楽譜が、永遠にこの世から消え去ってしまったのである。

【お薦め盤】
ミシェル・プラッソン指揮、トゥールーズ市立管弦楽団(EMI)

Magnard_sym


【追記】
youtubeに音源が掲載されています。


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