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2004/08/14

貴志康一  ヴァイオリン協奏曲

日本人が生み出した初の本格的ヴァイオリン協奏曲は、大阪が生んだ夭折の作曲家、貴志康一(きし・こういち 1909~1937)が1935年、25歳の時に、ドイツのベルリンで作曲、初演された。

Kishi

優れたヴァイオリン奏者でもあった貴志らしく、さまざまな超絶技巧が採り入れられているが、西洋音楽の本場で日本の伝統音楽を試みようという意図もあり、曲全体を流れる雅(みやび)で華やかさを感じさせる日本情緒が素晴らしい。

伝統的な3楽章形式、演奏時間は約35分

第1楽章 アレグロ・モルト
広重などの風景画を思わせる色づかいと、見通しのよい華麗さが印象的な楽章。
中間部において、独奏ヴァイオリンのG線で奏でられるヨナ抜き音階の旋律は、哀しくも美しい。この旋律が短調から長調へ、そしてまた短調へと転調していくところが聴きどころである。

第2楽章 クワジ・アンダンテ
霧に煙る竹林の風景を彷彿とさせるような耽美的な楽章。
終盤のカデンツァで独奏ヴァイオリンが完全5度(A-E)による重音を響かせる瞬間は、黄金が輝くようなまぶしさを感じさせる。

第3楽章 モルト・ヴィヴァーチェ
和洋それぞれの部分が交互に組み合わされたような展開を見せる楽章。
ヴァイオリンの超絶技巧が次々に繰り広げられる。
個人的には、楽想が十分に整理しきれておらず散漫な印象があり、思い切ったカットを施した朝比奈盤を好む。

LPレコードでは、上記の辻久子の独奏、朝比奈隆指揮、大阪フィルの演奏(私家盤)があったが、CDは現在のところ次の1種類しかない。そろそろ新たな録音の登場を望みたいところだ。

【お薦め盤】
数住岸子(Vn)小松一彦指揮、東京都交響楽団(日本ビクター)

Kishiviolinconcert


【追記】
youtubeに演奏がアップされていました。(2009年2月1日加筆)
※第1楽章の冒頭から中間部前まで

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